PART II社会と情報のテクノロジー09ワークとライフの境界線
将来を考えるという場合、たいていは、どんな仕事をするのかという話につながっている。
だってほら、生きていくにはご飯も食べなきゃだし、住む場所だって必要だし、スマホや電気や水道を使うにもお金が必要だから。
働くのが楽しみだという人も憂鬱だという人もいると思う。使い切れないほどお金を持っているなら別だけど、そうじゃない場合はやっぱりどうやら働く必要がありそうだ。
でも、どうせ働くなら、人生なるべく楽しくよい方向に進めたいもの。どうすればよいだろう。
そんなときは基本に戻ってみよう。
まずはお金について見直そう。そもそもお金ってどういう仕組みなんだろう。なぜあの金属片とか紙切れとか電子データみたいなもので買い物したり電車に乗れたりするのかしら。そこのところが分からないとどうも危うい。
それからもう一つ、どんな働き方があるのか。
これも基本といえば基本だけど、一度はちゃんと検討してみたい。そもそもいま世の中にはどんな働き方があるのかな。一〇年後もいまのやり方で通用するのかな。日本はどうか、世界はどうか。自分にとっては、どんな働き方がよいだろうか。
幸いなことに、すでにこれまでいろんな大人たちが、いろんな働き方や生き方をああでもないこうでもないと試しておいてくれてある。その経験を活かさない手はない。
ここに集めた本を出発点にして、仕事や働き方の攻略法を考えてみよう。固定観念で決めつけずに、いろんな可能性を考えてみるのがコツ。
56お金の授業
とにかく、カネ、カネ、カネーーー!
お金は人を助けもするし、翻弄もする。幼少期のお金は魚の匂いがしたという著者は、貧乏生活から抜け出すためにイラストレーターとして稼ぐことを目指す。お金を手にすることは自由を得ることだと信じていたのに、待っていたのはギャンブル地獄だった―。ドラマ化もされた感動のエッセイ集が、お金の真実の姿を教えてくれる。
57一攫千金の夢
ギャンブル必勝の公式が存在する!?
数学者は時に株や賭け事で勝つ方法を導き出す。統計や確率論を究めた者たちの習性なのかもしれない。本書はギャンブルで勝つ方法を導き出した「ケリー基準」についての本だ。眉唾かもしれないが、情報理論も金融工学も高等数学も登場する。賭けに勝つためにはそれなりの学びが必要なのだ。
58起業する!
苦悩の果ての「社会起業家」という仕事
まだ「社会起業家」という職業が日本で浸透していない頃、著者は「フローレンス」という病児保育のためのNPOを”起業”する。起業=儲けるという認識が主だった時代に、「社会をよくする」ためのビジネスに乗り出す。若きソーシャル・アントレプレナーが、大いなる挫折を乗り越えて花開くまでの汗と涙と感動の物語。
59未来の働き方
このヤバイ経営者に注目せよ!
「人類に救済が必要だ」と本気で考えているのが、破格の経営者イーロン・マスクだ。幼少時代は学校の図書館の本を全部読み、27歳でシリコンバレーのIT長者、電子決済サービス・ペイパルの原型を生み出し、31歳で宇宙事業に参入、テスラ社で自動運転事業も手がける。いまでは火星移住を本気で計画中だ。こういうヤバイ天才が人類を先導していく。
600円でだって生きられる
東京では1円もかけず暮らせる!?
ある日隅田川沿いのブルーシートハウス群で著者はオジさんに出会う。鈴木さんと名乗るオジさんはいわゆる「ホームレス」。そこではテレビも見れるし、焼酎も飲める。でも1円もかからないのだ。驚いた著者はその生活に密着する。立派な「家」に住む彼らから、建築とは何かを突きつけられ、まったく新しい建築論が誕生した。