PART III宗教と文明のヒストリー14宗教はみんな違う
世界の文化や歴史を見てみると、たいていどんな時代や場所にも宗教があったようだ。
かつて人びとが、この世界のはじまりやしくみを神様で説明した時代があった。人間には及びもつかないような大きな存在がいて、この宇宙をつくって動かしているというわけだ。
信仰をもつ人たちは、神に祈りを捧げ、神の声に耳を傾けた。そこからさまざまな組織や儀礼が生まれ、信者たちを教え導く宗教的指導者もあらわれた。
ある場所で生まれた信仰が、人とともに別の場所へ移動したりもする。あるいは混ざり合ったり、分派したり、ときには宗教が争いのもとになることもあった。
歴史の本を繙けば、宗教は国家や政治の中枢とも関係を結んだり、逆に弾圧されたりした様子も目に入る。
また宗教は文化の母体ともなった。
例えば、聖書やコーランや仏典のような聖なる本がつくられ、その解釈と検討が学問の基礎となった。歌や音楽がつくられ、荘厳な建築物や教育研究機関が設けられた。聖典に書かれたエピソードは、絵画や彫像をはじめとする芸術の重要な材料にもなってきた。
こんなふうに、日々の生活から国家や文化まで、宗教は人びとの支えとして、共同体の基礎として、さまざまな役割を担っている。
だから例えば、ヨーロッパや中東をはじめ、世界各地の芸術や文化をよりよく理解しようと思ったら、宗教についての知識や理解も欠かせないわけである。
と、頭では分かっても疑問が残る。
それにしても宗教ってなんだろう。人はなぜ信仰をもつのだろう。なぜ一つではなく、たくさんの宗教があるのだろう。
ここには人間や世界を知るための重要なカギがあるはずなのだ。
86まずはマンガからどうぞ
貧乏なデリバリーゴッドの戦い
ノラガミとは野良神。主人公は祀られる社(やしろ)をもたない住所不定無職の貧乏な神様・夜ト(やと)。自分の社をもつために1回5円で人助けをしている。自称デリバリーゴッド。実は日本には無名で異端な神々がたくさんいる。なぜ異端とされたのか。それが問題だ。天神様も毘沙門天も日本の神さまがたくさん登場。夜トの秘密もだんだん明らかになっていく。
87絵画に潜むメッセージ
ダ・ヴィンチ・コードが鳴り止まないっ
ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を思い浮かべてほしい。食卓にはパンとワインが並ぶ。二つはイエスの肉と血を暗示する。記念日の食事にはかならず仔羊を食べる。それがないのはなぜか。イエス自身が犠牲の仔羊だからだろうか。イエス伝が分かるとアートにハマる。
88建築に一目惚れ
ミューズが創った奇跡
石、ガラス、金属、タイル、貝殻などの細片を敷き詰めて装飾する技法がモザイク(mosaic)。語源はミュージック(music)やミュージアム(museum)と同様にギリシャ神話の女神ミューズだ。モザイクの都といえばイタリア・ラヴェンナ。スペインアルハンブラ宮殿、ガウディの奇想建築も要チェック!
89仏像を解剖する
1分で分かる寺と仏の3ポイント!
仏像とお寺を見るポイントは3つ。[01]仏像は如来、菩薩、明王、天部の4グループに分かれる。[02]仏の気持ちは目と手と足を見れば分かる。[03]寺院には仏教の世界観がびっちり表現されている。入口にあたる山門の欄間や柱から本堂の座布団の位置にいたるまで周到にデザインされている。さあ、お寺巡りに出かけよう!
90信仰はあったほうがいい?
聖書の教えをバカ正直に守ってみた!
罪人には石を投げよ。ぶどう酒は心を痛めている者に。隣人を卑しめてはいけない。生理中の女性に触れてはならない。本書は、現代NYで聖書の教えをバカ正直に守ろうとした男のユーモアあふれる奮闘録だ。笑っていいのかダメなのか、「やってみたシリーズ」でおなじみの著者が体をはった1年間。聖書のことがより身近になるかも。