大工の年収は、厚生労働省が2023年に発表した「賃金構造基本統計調査」に掲載されています。10人以上の社員が在籍する会社における大工の平均年収は457.1万円、10～99人の会社では455.5万円、そして100～999人の会社では482.4万円、1000人以上の会社では353.0万円となっています。ちなみに平均年収は、毎月支給される給与にボーナスなどを加えた額です。独立開業した大工職人の年収は、公的機関などによる調査が行われていないためデータがありません。

大工の就職先は、自分が住む地域にある工務店が中心です。未経験者でも就職は可能ですが、すぐに家づくりの大事なところをまかされることはなく、数年におよぶ修業期間を経て、一人前の大工に成長します。工務店から仕事を得ている個人の大工職人に弟子入りするケースもあります。マンツーマンで指導を受けられるため、高い技術を習得することができます。住宅メーカーは、お客さまから仕事依頼を受けたあと、実際の家づくりは地元の工務店や大工、グループの建設会社にまかせるのが通例です。このため住宅メーカーに就職しても、大工として働く機会はほとんどないと考えたほうがよいでしょう。

大工の起源は、およそ1400年前の飛鳥時代までさかのぼるといわれます。一説によると、聖徳太子が作った建築技術者の組織では、木にかかわる職人を「右官」、土にかかわる職人を「左官」と呼んでいたそうです。江戸時代になると右官は大工と呼ばれるようになり、その呼び名が現在まで続いています。都市部では鉄筋コンクリート造りのマンション建築が盛んで、大工の仕事が減っているように見えます。しかし一方で、耐震性能や断熱性能にすぐれた「木の家」の研究が進んでおり、温かみの感じられる木造建築を見直す動きも強まっています。若手大工が不足している現状もあり、日本古来の技術を今に伝える大工職人のニーズは、今後も高まることが予想されます。