私は高校の数学教員や校長として高校教育に携わってきました。ITやIoTが身近になったこともあり、現代の世の中は様々なデータであふれています。これからの時代を生きる人にとってデータを正しく理解し、利用する能力は必須であり、その基礎になるのは「統計的リテラシー」です。ですから現在の高校の学習指導要領には、以前は大学でしか勉強しなかった仮説検定などが含まれています。
ところが高校教員の多くは、統計データをExcelなどを用いて統計処理したり、生徒に統計指導をしたりするのに必要な統計的リテラシーが不足しています。
そこで、私は本校の演習講義や大学の教職課程といった現場で教えながら、高校教員の統計的リテラシーを調査・研究しています。ゆくゆくは教員のための統計教育ガイドブックなどの作成に結びつけたいですね。
データサイエンス教育の専門家である槇先生が担当するのは、統計データを用いて社会の様々な現象を分析し、発表にまとめる演習形式の授業。「コロナ禍での運動不足解消に対する筋トレアプリの効果」「地元に新しい交通機関が整備されることで、地元と大都市圏のどちらに経済効果があるのか」「成功しているスタートアップ企業の割合」といった、生活や仕事に直結するテーマは、どれも学生側から出てきたものだ。公開されたデータを用いてエビデンスに基づいて分析・検討し、表現する力を、授業時間いっぱい親身に指導している。
「データから本質を読み解く力」はいまの時代を生きる人に必須の能力です。専門学校の短い期間で、データを読み取り、表現する力を身につけて、データアナリストとしてしっかり活躍してくれることを期待しています。
専門:数学教育
修士(理学)、博士(情報科学)。東京理科大学大学院にて修士号取得の後、千葉県内、山形県内の公立高校及び教育委員会に計34年間勤務し、数学科教員~教育委員会~教頭・校長を歴任。校長在職中には東北大学大学院に所属して統計教育について研究し、60歳で博士(情報科学)の学位を取得。現在は東京理科大学特任教授、中央大学非常勤講師そして本校講師として、数学教育やデータサイエンスを指導している。