私の研究テーマは「世間学」。基本的に、世間とは地域や学校など私たちを取り囲む人間関係です。日本では社会よりも世間を優先し、「わたし」をあまり出しません。この世間から排除されることへの恐れが、私たちが生きづらい原因の一つとなっています。では、人々はいつから世間を強く意識したのでしょうか。私は明治以降に大きな変化があったと考えます。江戸時代までの世間は共同体でしたが、明治以降は外国からの文化が入り視野が広がりました。この変化の一つは裸体観の変化にあると思います。近代までは裸体は恥ずかしいものでなく、浴場も混浴でしたが、近代以降は恥ずべきものとして隠すように。つまり裸体観の変化により、これまでの共同体のような「見える世間」に、人々の視線を気にする「見えない世間」が加わったと考えています。
新矢先生の「社会参加とボランティア」の講義は、ボランティアについての座学と実践の二部から成り立っています。ボランティア先は「祇園祭の綾傘鉾」と「釜ヶ崎の炊き出し」。学生たちは座学で、祇園祭綾傘鉾や西成地区の概要や歴史について知識を深めてから実践へと向かいます。「講義ではボランティアの意義についても、丁寧に伝えています」と先生。歴史的な祇園祭の行事に直接関わることや、貧困が目に見える町・釜ヶ崎での炊き出しを通して人々と交流することで、日本の歴史や社会問題にふれる貴重な機会となっています。
自分が何を学びたいかを意識し、主体的に行動することが大切です。ぜひ大学であなたが、全力でぶつかっていけるものを見つけてください。華頂は教員との距離が近いことが大きな魅力。私たちが温かくサポートします!
専攻・専門分野/史学、社会学
学歴/花園大学文学部史学科卒業 佛教大学大学院社会学専攻科修了。博士(社会学)。長年に亘り「空気」「世間」について研究。「わたし」を取り巻く社会についての講義を展開している。大阪市西成区在住であり、先生自身も長年に亘り釜ヶ崎の炊き出しボランティアを行っている。