心疾患や様々な病態による急性期の心機能低下に対して行われる補助循環では、経皮的心肺補助法(PCPS)が主に適応されています。ところが、その治療成績は生存率50%前後にとどまります。その一因として、現在のPCPSシステムには一定の速度で送血する「定常流」を発生させる遠心ポンプが用いられていることが挙げられます。本来、人間の身体は心臓を使って「拍動流」を全身に供給して循環を維持しているので、「定常流」は非生理的な要因となっているのです。そこで、当研究室では独自の拍動流発生装置「K-beat」(特許第5557175号)を開発。その安全性・有効性について検証を行ってきました。結果、動物実験では一定の成果が見られました。この成果をもとに拍動流補助循環が一般的となり、少しでも生存率向上に寄与できたら嬉しいです。
ゼミでは大阪公立大学大学院医学研究科(心臓血管外科学)と共同で動物実験にも取り組みます
稲盛先生が担当する「医用治療機器学」では、病院内で使用される様々な治療機器について学びます。3年次後期には電気メスの点検方法・安全管理、サンプルを使った使用体験などの学内実習も担当。20年間、臨床現場で活躍してきた先生からは教科書に載っていない臨場感あふれる実体験や希少な症例を聞くことができます。さらにゼミではより応用的な学びを展開。小動物を使った人工心肺モデルを確立し、実際の心臓手術への影響を検証したり、先生が客員教授を務める大学院と共同で拍動流発生装置に関する研究・実験にも取り組んでいます。
学内実習で電気メスの作用原理や基本的操作方法および注意点等を解説
1980年代から医療はめざましい発展を遂げてきました。そして、AI(人工知能)時代が到来する今、臨床工学技士は次世代の医療業界を引っ張っていく存在として期待されています。皆さんの挑戦を待っています。
「臨床現場での実体験を話すことで、仕事のイメージができ、学生のモチベーションも上がります」
専門:人工心肺、補助循環(PCPS・ECMO)、医療治療機器
1986年京都大学医療技術短期大学部看護学科を卒業。1988年の第1回 臨床工学技士国家試験にて臨床工学技士資格を取得。2014年医療工学の博士号を取得。病院の救急部や手術部で臨床工学技士として数々の症例に携わる。藍野大学には2022年に入職し、担当ゼミでは客員教授を務める大阪公立大学大学院医学研究科心臓血管外科学との共同実験も行っている。
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