私が専門としている発達臨床心理学は、心の発達問題に対する臨床実践を基本とし、乳幼児から大人に至るまでの幅広い年齢層を対象としたカウンセリングとプレイセラピーがその中心です。特に、子どもの発達に悩む保護者のカウンセリングをして感じることは、保護者自身の過去の悩みに繋がることが多いこと。そういった悩みを整えることで、親子の関係改善や保育環境改善に役立っていることを実感しています。
私が臨床実践を行ううえで大事にしていることは、「その人の心の問題を治せるのはその人自身であり、臨床家は傍らに寄り添う伴走者である」という視点。現在の日本では、悩みを相談することが特別視されている傾向があるので、人に相談することが当たり前の社会になるよう、そして、専門家の存在意義を高めることを目指して活動しています。
こども保育・教育専攻は、多くの学生が保育者を目指しているので、保育のねらいや計画を大事にしつつ、一人の人間同士がどう関わっていくのかということを最も重視して学びます。常に「○○とはなにか」という問いの視点を持ち、「考える」ことを基本に授業が進行します。目の前の子どもが何を感じ、何を考え、何を思っているのか。つまり、子どもと一緒に遊ぶだけではなく、あやすのがうまいだけでもなく、目の前の子どもの心の世界を常に考えて、子どもの心を大切にできる保育者を目指せるような学生を育成しています。
保育所・乳児院・児童養護施設・幼稚園等の子どもと関わる仕事に就くには、子どもの心を理解することが不可欠です。「子どもの心をちゃんと理解できる保育者になりたい」という方、ぜひ一緒に勉強していきましょう!
専門:発達臨床心理学
略歴:東洋大学法学部卒、株式会社Olympicに18年勤務した後、立正大学文学部卒、淑徳大学大学院総合福祉研究科博士後期課程単位取得退学。社会福祉法人龍澤園慈光保育園・公益社団法人千葉市民間保育園協議会・千葉市子育て支援館に勤務後、福島学院大学福祉学部を経て2017年より現職。
人間の発達を支える専門職、とくに乳幼児や障害児の発達を支える保育者や療育者に焦点を当て研究を行う。