店舗内にパンを作るための厨房を持ち、パンの製造・販売を行うパン屋さんのことを「リテールベーカリー」といい、私はそうした店舗で約14年間、パンを作っていました。現在は教員としてパン作りを指導していますが、毎日のようにパンを作ることが私にとっての日常であることに変わりはありません。場所はどこであれ、パン作りって本当に楽しい作業。パン屋さんに就職して最初の頃、先輩から「焼きたてのフランスパンのパチパチっていう音に耳を傾けてみて」と言われたことを今でもよく覚えていて、学生にもよくその話をします。さまざまな作業を経てひとつのパンが焼き上がる瞬間は何度体験しても嬉しいもの。そうした達成感や喜びを感じながらパン職人として成長してくれる人材をひとりでも多く育てたいとの思いで、日々学生たちと向き合っています。
入学直後の先生の授業は、実習室の使い方からスタートします。モノの配置、パン作りに欠かせない器具の使い方を知ることは、パン職人になるための第一歩。その後実習に入り、本格的にパン作りを行う過程に入ってから先生が何より大切にしていることは、学生ひとり一人への目配りだといいます。「同じ指導を受けても、学生の成長のスピードは一人ひとり違います。学生が焦ることなく、自信を持ちながら成長できるよう目配りし、声をかけ、できることがひとつでも増えたら褒め、成長を見守りたいと思っています」と栗原先生。
本校では1年次にパン、和菓子、洋菓子すべてを学ぶので、視野が広がります。モノを作るって本当に楽しい作業。「やってみたい」という気持ちがあるなら経験は関係ありません。基礎から少しずつ学んでいきましょう。
神奈川県立平塚農商高等学校卒業後、リテールベーカリーを展開する会社に入社。パン製造の経験はまったくなかったものの、先輩たちの指導のもと店舗内の製パン専用厨房にてさまざまなパン作りに携わるうちに、パン作りに魅了される。2020年2月、国際フード製菓専門学校に入職し、パン作りを教えている。趣味は料理。休日もパン、ケーキ、料理づくりに熱中しているという。