私の研究テーマは人工冬眠(休眠)法の開発です。冬眠動物は寒くなり食べ物がなくなればいつでも冬眠すると思われがちですが、夏季にそのような環境に置いても冬眠しません。冬季に体が冬眠できる生理状態になって、初めて冬眠できるのです。この考え方をベースに、マウスやラットに薬物を投与して長時間の低体温を誘導する手法を開発し、そのメカニズムを研究しています。冬眠研究は生命の無限の可能性を感じることができ、知的好奇心をくすぐる格好の題材です。学生たちには「生きているとはどういう状態か」、「正常とはどういう状態か」についても考えてほしいと思っています。愛玩動物看護師や実験動物技術者は命を扱う仕事ですから、正しい生命倫理観が必要です。「動物の生命」に関わる動物医療に必要なセンスを磨く教育を実践しています。
愛玩動物看護師となるために必要な動物生理学と動物臨床看護学各論の授業を担当しています。解剖学や生理学の知識は病気の理解に欠かせないので、それらと臨床科目の学びがどうつながるのかイメージできるように工夫しています。また、1年次のインターンシップの実習も担当。学生は動物病院実習や牧場実習、環境イベントに参加し、自分の志望する職業を早期に体験。1年次と早い段階から、動物医療などに必要なスキルや適性を具体的に意識できる貴重な機会で、学生達は具体的な目的意識を持って勉強に取り組んでいます。
犬・猫などの愛玩動物はなくてはならない存在ですが、一方で飼育崩壊や動物虐待など問題も山ほどあります。「動物が好き」という動機があれば大丈夫。自分の「好き」を信じて、動物医療の仕事を目指してみませんか。
宮崎大学農学部獣医学科卒業。獣医師免許取得。岐阜大学大学院連合獣医学研究科博士課程にて博士号(獣医学)を取得。大学院ではニホンツキノワグマの妊娠生理について研究する。大学院卒業後、三菱化学生命科学研究所にてシマリスの冬眠研究に携わる。その後宮崎大学、群馬大学研究員・非常勤講師、日本学術振興会特別研究員RPDなどを経て、現職。