学校教育に限らず、教育的事象の多くは家庭や地域、歴史、政治政策などが複雑に絡まり合って成り立っています。教育社会学はそれらを俯瞰的に捉え、問い直す学問です。これまで自分が生きてきた枠組みは「当たり前」ではなく、さまざまな事情を抱えた子どもが大勢いることを知り、すべての子どものウェルビーイングを保障できる社会をどうつくり上げていけばよいのかを考える機会は、教員を目指す上で必要不可欠だと考えます。また、近年は従来からの学校教育と、オルタナティブスクールとの協働に注目が集まっています。そのため、全国の不登校特例校や教育支援センターなど先進的な取り組みをしている学校の調査も行っています。本校での学びを経て、より広い視野を持つ教員を目指してほしいと願っています。
一方的な講義ではなく、学生自らが問いを投げかけグループで議論を行ったり、学生同士で意見を交わしたりといった対話型授業を心がけています。自分とは異なる環境で生きてきた他者の意見に耳を傾け、それぞれの事情や考え方があることを実感することで、より広い視野を持つことができると考えているからです。また、ある講義内にて小牧市で外国ルーツの子どもの日本語指導を行う市民団体の方や摂食障害の当事者支援をされている方によりリアルな話を聞く機会を設けましたが、学生らにとっては良い刺激になったようです。
大学での学びを通じて多くの視点から物事を捉えることができると、今まで見えなかったものも見えるようになります。その上で自分に何ができるのか、何をしたいのかを考え、自分自身の人生をより豊かにしてください。
京都大学大学院教育学研究科博士後期課程指導認定を取得後、京都大学大学院教育学研究科研修員を経て、現職。現在、地方自治体の生涯学習審議会委員や、市民活動推進委員、教育NPO団体の事業アドバイザーなども務めている。