私は、地域連携を通じたデザイン教育の実践に焦点を当てた研究に取り組んでいます。本学がある福島県は現在も復興の途上にあり、復興にかかわる様々な課題は、教育の実践の場としてだけでなく、学生にとっても貴重な学びの機会となっています。2019年から毎年3月11日に実施している「復興の灯火プロジェクト」もその一環です。このプロジェクトでは、地域の伝統工芸である「海老根和紙」に着目し、学生が一つひとつデザインした灯ろうを展示しています。また、地域の高校生にも参加してもらい、若い世代が震災の記憶や復興の意義について考える機会を創出しています。私は、デザインの視点から地域の課題を発見し、その解決に取り組むとともに、学生が実践的なデザインプロセスを体験することで、理論と実践の統合を促すことを目指しています。
毎年3月11日に郡山駅西口駅前広場で「復興の灯火プロジェクト」を開催しています
地域創成学科では、「地域創成プロジェクト演習」を通じて、さまざまなプロジェクトを実施・体験します。その一例として、2021年から3年間取り組んだ「双葉町環境再生デザインプロジェクト」があります。このプロジェクトでは、双葉町、環境省、フレックスジャパン株式会社と連携し、震災後の小学校に残された布材を活用して学生が記念品をデザインしました。「このプロジェクトをきっかけに、震災や復興の現状に関心を持ってもらえれば」と小松先生は語ります。完成したアイテムは、20歳を迎えた双葉町の皆さんに贈呈されました。
双葉町に残された布材を使用して学生がデザインした記念品(2022年度)
地域創成学科では美術やデザインを深く学びたい方はもちろん、歴史や情報を学びながらデザインに触れることも可能です。クリエイティブの力で課題に対して仮説を立て、検証するプロセスを楽しんでほしいと思います。
美術団体に所属し、コンピュータを活用したグラフィックアートの制作にも取り組んでいる小松先生
略歴:筑波大学芸術専門学群卒。筑波大学大学院人間総合科学研究科芸術専攻博士前期課程修了。修士(デザイン学)。大学卒業後、デザイナーとして広告制作会社に勤務。2002年、郡山女子大学短期大学部生活芸術科講師、2015年、同学科准教授を経て、2018年より郡山女子大学短期大学部地域創成学科准教授、現在に至る。2018年、第68回モダンアート展優秀賞・損保ジャパン日本興亜美術財団奨励賞を受賞。
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