専門は大人の発達障害への認知行動療法です。私が大人の発達障害への支援や研究を始めた約15年前は、ADHDや自閉症スペクトラムなど、発達障害は子どもの問題だと思われていました。海外でも、大人の発達障害への心理療法に関する研究は非常に少なく、論文や専門書だけでは実態を把握したり、大人の発達障害の特徴を実感したりができませんでした。そこで、大学院生のころ、患者会に毎週のように参加し、学ばせていただきました。今も、その体験を基礎に臨床や研究を行っています。発達障害の人の問題行動にも、その人なりのメカニズムがあります。それを理論的に整理し、患者セルフコントロールできるようにするのが認知行動療法。今後も、臨床や研究を続け、得た知見や考えを授業を通じて学生の皆さんに還元したいです。
認知行動療法全般をテーマとする金澤先生のゼミは、学生たちが積極的に意見を言い合う活気のある雰囲気。大学3年次から大学院博士課程までの21名が学んでいます。3年次には統計の基礎などを学び、4年次には卒論の研究計画書の作成、学部と大学院合同ゼミでは仮想事例検討など実践的な学びを展開。認知行動療法やカウンセリングの知識や技術を年次ごとに筋道を立てて身につけていきます。ただし、臨床心理学は人を相手にする正解のない学問。理論や知識だけでなく、客観的な視点をもって自分で考えることがゼミでは重視されています。
「まだ見ぬ患者さんをイメージしながら勉強すること」が、自分で考えることと知識の両立につながり、カウンセラーや社会人になるための役に立ちます。役立つことを楽しみながら、学び続けてほしいです。
久留米大学法学部卒業後、ダイレクトに人とつながる仕事がしたいと心理学の道へ。アメリカのセントマイケルズカレッジで2年間学び、帰国後は北海道医療大学大学院へ。心理科学研究科博士課程修了。2012年本学助教、2017年より准教授。「福祉心理学」など広くカウンセリングに関わる授業を担当するほか、本学附属の「こころの相談センター」で大人の発達障害の方を支援している。