生物の設計図とも言われるDNAは様々な場所に存在し、このDNA解析の技術は、山や川、海など自然環境の状況を知るために役立てることもできます。例えば川の水を採水して調べると、そこで生活していた魚の粘液、剥がれ落ちた表皮などを検出できます。下流の水を解析すると、上流の生き物がどのような生態系であるかなども分析可能です。自然の中に存在する、いわゆる「環境DNA」を分析することで、どんな生物がいるのかや、個体数なども推定できるのです。色々な所に行き、環境DNAを分析して環境の状態がわかれば課題が見えてきます。また環境DNAは採取や分析を継続することで環境の変化をモニタリングできることも特長です。環境問題をどう改善していくかというところまでを導くために、環境DNAの解析技術は今後も重要な役割を担っていると考えています。
環境共生学科※では様々な自然環境の実状を肌で感じ、自分が取り組みたい環境問題を明確化するためにも、1年次からフィールドワークを多く実施します。「自分が見つけた課題に対して、どんな分野と連携して改善していくかまで考えてほしいです。環境の研究は個々の学問として動いても課題解決は進みません。多彩な学問分野が集う総合大学の強みを生かし、また、学生自身も企業や研究者など外部の人々と意見を交換しながら幅広い環境問題に取り組み、社会で活躍できる人材を育てたいと考えています」。※設置構想中
武庫女は都市にありながら、山や川、海が近い場所に立地し、環境を学ぶ上でかなりのメリットです。また、周辺の企業や自治体、地域の方々と共に、様々なプロジェクトに取り組む学びの場も用意しています。
筑波大生物卒、東京工業大学にて博士(理学)取得。研究者としてのキャリアを重ね、現在は武庫川女子大学薬学部・健康生命薬科学科の教授として教鞭を振るう。2025年4月、環境共生学部環境共生学科※に就任予定。「本学では既存の学科でも企業と連携した実践活動やSDGs推進イベント、小学校への出前授業などを行っています。新学部誕生により環境問題について全学的に取り組む代表的な学部にしたいです」。※設置構想中