ネットワークセキュリティや暗号について、技術的な研究だけでなく、それらを利用するユーザーにとって使いやすい技術の研究開発に取り組んでいます。ユーザーにとっていかに効率よく快適に使えるかという視点で技術を研究開発する「ユーザブルセキュリティ」「ユーザブルプライバシー」の分野です。皆さんも、ネットワーク上で自分専用のパスワードを設定する際に、安全性のレベルが色やメッセージで現れ、パスワードの設定をサポートしてくれるのを見たことがあるでしょう。非常に身近であり、この10年ぐらいで国内外でより注目を浴びるようになった分野です。インターネットを社会基盤とした生活を迎えた現代では、技術者を助けユーザーに安全を提供する「ユーザブルセキュリティ」「ユーザブルプライバシー」が、今後ますます重要になるでしょう。
まだ誰も解決していない問題に焦点を当てた研究を行っており、どんなに小さくても人類の発展に寄与することを目標としています。「その分野の、日本または世界のトップになりなさい」。金岡先生は日々学生たちにそう言います。学生たちは卒業後、研究テーマに直結した仕事に携わるとは限りませんが、意識次第では研究活動を通してどんな仕事にも対応できる本質的な力を身につけることができます。研究活動の計画、進捗管理、自分が得意・不得意とする作業の認識、それらに必要な時間の算出等。研究のみならず様々な仕事で重要なことです。
大学での学びは受け身の勉強だけでは成り立ちません。新たな知見を探り出しそれを人々に共有していくこと。それが大学での研究です。興味のあること、得意なことに光を当て研究し、社会に向かう基盤としてください。
1998年東邦大学理学部情報科学科卒、2000年同大学大学院理学研究科修士課程修了、2004年筑波大学大学院博士課程システム情報工学研究科修了。同年セコム株式会社入社、筑波大学大学院システム情報工学研究科研究員、同助教を経て2013年より東邦大学理学部情報科学科講師、2017年より現職、セキュリティとプライバシーのユーザビリティ、暗号技術の応用に関する研究に従事。2014年情報処理学会山下記念研究賞受賞。