研究の柱は『生命のオペレーションシステム』ともいえるヒト人工染色体ベクター(HAC)の開発と応用です。遺伝情報を担うDNAと蛋白質からなる構造体である染色体を切ったり貼ったりして新たな配列を搭載する技術『染色体工学』が、「ヒトとサルの違い」や「絶滅生物や古代生物の染色体復元」などの基礎研究から新たな医薬品となる「バイオ医薬品の開発」や「細胞・再生医療」などの応用研究まで幅広い分野で注目されています。「生物工学研究室」では、独自の染色体工学技術をはじめ、様々な技術を駆使した研究に取り組んでいきます。
『遺伝子工学』と『蛋白質工学』の講義を担当している冨塚先生が心掛けているのは、画期的な発見や技術が初めて発表された時の研究者としての興奮や、発明者と議論した実体験など臨場感のある講義内容。身の回りにある事例を積極的に取り上げたり、25年かかってようやく患者さんに届いた教授自身の医薬品の研究と開発などから、学生たちも自分がやっている研究が社会にどんなインパクトをもたらすかをイメージできる授業です。社会人になってから役立つ、基礎科学の知識や発見を応用に繋げるための思考法も身につけられます。
生命の誕生から40億年を超える歴史の中で、生命科学に携われることはまさに『奇跡』だと感じながら、研究に取り組んでいます。高校生の皆さんには「面白くて役に立つ」生命科学の20年後を切り拓いて欲しいです!
京都大学大学院理学研究科(修士)修了後、キリンビール株式会社へ入社。基盤技術研究所などで研究員として勤務する傍ら、2000年に鳥取大学医学部にて学位(博士〈生命科学〉)を取得。Kyowa Hakko Kirin California.Inc.副社長兼最高科学研究責任者、協和発酵キリン株式会社 創業技術研究所所長を務め、2018年より東京薬科大学の教授に。小学生の頃は“彗星探索”に憧れていたそう。