「環境中の有害な化学物質の分析を通して、その発生源に迫る研究をしています。例えば、PM2.5にはさまざまな水溶性イオンや重金属類が含まれており、それらの濃度や比率は発生源ごとに異なるため、それを測定できれば、犯人?が工場なのかクルマ(排気ガス)なのかを特定して効果的な対策が打てるのです。そのため、環境動態によって比率が変わる化学物質の「安定同位体比」に着目して、新たな分析法や解析手法の開発を目指しています。また、大気汚染が深刻なバングラデシュのダッカ大学と連携した犯人探しも重要な取り組み。さらに安定同位体比は食品にも含まれているため、偽物を見極める鑑識学的な研究も行っており、シロップ混入が疑われるハチミツ、普通酒を純米酒と偽る日本酒などの食品偽装に対する科学的な解明にも果敢にトライしています。」
安定同位体比の新たな分析法や発生源解析手法を研究室の学生たちとともに開発しています
「環境分野の研究ではフィールドワークが重要」という川島先生。雨が降れば大気汚染物質の濃度も下がり、黄砂の時期には急上昇する物質もあるため、長期的な視点で測定する必要もある。PM2.5のサンプラーを持った学生が街に出て環境調査をすることもあり、それは自分が学ぶ領域が現実社会とリンクしていることを体感できる機会にもなっている。また、研究室では毎朝のミーティングを通して学生の成長度を見極めながら自発的な発言を促すようにしている。「疑問があれば質問する。意見があれば言葉にする。それが科学する力を育てます!」
共同研究先のバングラデシュのダッカ大学を訪れて最新の大気汚染物質に関する研究成果を報告
「皆が言っていることを鵜呑みにせず“ほんとかな?”と思うことが新たな発見の芽です。その芽を花や果実にするには時間が掛かるかもしれませんが、是非、興味の対象を見つけて納得するまで追究していきましょう。」
「大学3~4年生の頃、ドキュメンタリーの映画監督になろうと思い映画の専門学校に通ったこともあります」
専門分野:環境化学、環境動態解析、安定同位体、鑑識学、分析化学
横浜国立大学工学部卒業。同大学院環境情報学府博士課程中退。秋田県立大学システム科学技術学部助教、准教授を経て2023年より芝浦工業大学システム理工学部生命科学科教授に就任。論文博士(工学・横浜国立大学)取得。2013年~2019年、カナダのケベック大学モントリオール校、米国のスタンフォード大学、ドイツのデュースブルクエッセン大学の客員研究員。
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