みなさんは「環境問題」や「地域社会」と聞いてどんなことを思い浮かべるでしょうか?
「自然をありのまま守らないといけない」とか「活性化が必要だ」のように、すでに当たり前のゴールがある話題と思うかもしれません。けれども、実際にどのようなゴールを目指すべきかは、それぞれの地域のおかれた状況や条件により異なるはずです。現在、10年ほどをかけて、沖縄のある離島の調査をしていますが、開発や観光をめぐって生じた島の変化に対する島民の選択や判断には、自分のもっている「当たり前」をひっくり返してくれる驚きや新鮮さがあふれています。人びとの暮らしの視点にもとづいたフィールドワークによって、環境や地域をめぐる多様なゴールのあり方を考える。それが、私が学生とともに学ぼうとする社会学の営みです。
五十川先生は「考えることが好きな人、社会問題に関心がある人に向いているゼミ」と語ります。ゼミでは学生それぞれが興味のあるテーマで研究を進めます。猟師に弟子入りしながら野生生物の害獣問題について考える学生がいれば、子ども食堂を手伝うなかから支援のあり方について考える学生もいます。また共同の学びとして、岐阜県でのゼミ合宿も行っています。学生たちは地元住民の話を聞くだけではなく、稲刈り作業などにも参加。体験を通して、たとえば田畑の維持のたいへんさと担い手の問題を身をもって感じることができます。
「オトナが言うことにいまいち納得できない」それこそが社会学の扉を開くカギです。その違和感は、大学での学びに必ず結びつくはずです。その学びはあなたの資産になって、いつか役に立つ日がくると信じています。
専門:地域社会学、環境社会学
大学では教育学部に所属していたが、のちに師匠となる社会学者の著作を読み、「こんな面白い発想があるのか」と社会学を志す。筑波大学大学院、早稲田大学助教を経て、四天王寺大学へ。水辺空間を主要な対象に、空間政策のあり方を生活者の視点から研究している。沖縄での10年にわたるフィールドワークは、友人たちと訪れた離島で素晴らしい神人(地域の祭事を担う住民)に出会ったことがきっかけ。