カップル間暴力であるデートDVについて研究しています。Web調査を中心としたアンケートを実施し、それにより得られた何百人分ものデータを分析。デートDVの実態や被害・加害の原因、防ぐための手立てなどを探っています。デートDVは、女性だけでなく男性が被害を受けるケースも多く報告されていますが、ジェンダーに対するステレオタイプによって男性の被害は軽視されてしまう傾向にあります。そこで、暴力行為だけでなく、相手に支配されているかという関係性にも目を向けてアンケート調査を行ったところ、男性も被害を受けていることを数値で示すことができました。現在、相談体制などは女性向けのものに偏りがちですが、誰もが暴力の被害を受けない社会に変えていきたいと思っています。
ゼミではジェンダー心理学の様々な実習を通じて、ジェンダー問題について学びます。ジェンダー観は時代や文化によって異なります。2010年代に制作されたハリウッド映画の人気シリーズを過去作と見比べることで、ジェンダー観の変化を捉えます。また、国内外の玩具メーカーの比較も行い、国による異なるジェンダー観の違いを検討し、さらに玩具が子どものジェンダー観に与える影響について考察します。身近な事例で自分や社会のジェンダー観を捉えなおすことで、ジェンダーの多様性などを「自分ごと」として考える力を身につけます。
ジェンダーで能力が異なるといった言説に惑わされず、自分のやりたいことを追い求めてください。心理学の知見やデータの扱い方を知ることは、思い込みに気付き、客観的で多様な見方を持つことに役立ちます。
専門:心理学、ジェンダー
大阪大学大学院人間科学研究科修了。各地の大学での非常勤講師を経て、本学に着任。教育心理学や心理測定法概論、発達心理学など認定心理士の資格取得に関わる講義を担当。また、学校心理士として教育現場を支援し、児童養護施設の子どもたちを対象とした性暴力防止プログラムにも参加。幼少期から暴力に頼らない関係づくりができるよう、指導や対策を行っている。日本心理学会ジェンダー研究会事務局員。