心理学と聞くと、占いやメンタリストなどを思い浮かべる人も多いのでは?でも、学問としての心理学は、もっと奥深いもの。人の気持ちをひも解いていく学びは、実はとても科学的で論理的なのです。まずは「テレビではこう言っていたけれど、本当かな?」と疑問に思うことが大切。その現象について調べ、集めたデータを分析し、自分なりの結論を追究していきます。結果は「やっぱりそうなんだ」でも、「あれ?違ったな」でも、どちらでも構いません。大事なのは、自分で確かめてみる、体感してみるという姿勢。心理学で学んだことは、将来、仕事や人間関係、子育てなどに役立つことも多いものです。自分だけでなく他者を理解し、他者の立場にたって、社会を見つめることができるようになる。そんな成長も期待できる学びなのです。
もらい泣きする、あくびが伝染する、頭をぶつけた人を見て、思わず「痛っ」と声が出てしまう。ゼミでは、このように無意識に動作が同期する、感情が共鳴する「他者との共感」や「情動伝染」というテーマを研究。実験や行動観察、質問紙調査などの方法で分析し、全員でディスカッションしています。そのプロセスの中で大切にされているのが、柔軟な発想。たとえば、「しぐさも言語のようにコミュニケーションの役割を持つのかな?」「人間だけでなく、動物はどうなのかな?」などの視点が、考えるヒントになることも多いそうです。
心理学には、数学、生物、英語、国語、倫理など、幅広い知識が求められます。裏を返せば、いま高校で学んでいるさまざまな分野が活かせるということ。日ごろから、身のまわりのことに興味を持ってみてくださいね!
専門:実験心理学 学習心理学/略歴:新潟大学人文科学研究科行動科学専攻修了後、名古屋大学文学研究科博士課程(後期課程)学位取得修了。2014年より皇學館大学に赴任。白衣を着て実験を行い、データを分析する。そんな「理系的」な側面に魅かれて心理学の道へ。学生にも、「先入観にとらわれず、自分自身や社会を客観的にとらえるクリティカル・シンキングを大切にしてほしい」と伝えている。