大学卒業後、私は学校栄養職員として学校給食に携わりました。当時は、学校給食や学校での食育活動が注目されていた時期でした。食育を推進するためには、教員や学校医など、多職種との連携が必要不可欠でしたが、その過程で自分の知識不足を痛感する場面が増えていきました。もともと予防医学に関心があった私は、大学院に入学し、働きながら予防医学について学ぶ中で一次予防の重要性を再認識しました。また、学校教育の一環としては食育を受ける機会がありますが、社会人になると食育に触れる機会がほとんどなくなります。壮年期を迎える頃に疾病が顕在化しやすくなる社会人こそ、一次予防の一環としての食育が極めて重要であると考えています。私が研究している公衆衛生学は、このような集団の健康を守るため様々な側面からアプローチしています。
管理栄養士と公衆衛生学は直接結びつかないように思われるかもしれませんが、実際は密接な関係があります
伊藤先生のゼミでは、卒業研究の一環として、福島県が主催する「チャレンジふくしま県民運動」に参加しています。福島県は健康指標が全国的に見ても低く、特に塩分摂取量の多さやメタボリックシンドロームの該当率の高さが大きな課題となっています。この課題を解決するため、県民向けや社員食堂向けに、野菜をたっぷり摂取できる減塩メニューの考案を学生と一緒に取り組んでいます。「学生にとって地域社会での活動は、学んだ知識を実際の社会で活用することができ、貴重な経験となっています」と伊藤先生は語ってくれました。
学生が考案した福島県産食材を使ったヘルシーメニュー「カレイとシイタケのバター醤油ソテー」
食べることは生きること。これから学ぶ知識とスキルは、たくさんの人の生活を変える力を持っています。「食」の力を信じ、自分の夢に向かって努力を続けてください。その姿勢が、必ず人々の心に響くと信じています。
「管理栄養士は、栄養に関する専門知識を活かして個人や集団の健康増進に貢献する役割を担っています」
略歴:郡山女子大学家政学部食物栄養学科卒。福島県立医科大学医学研究科医学専攻博士課程修了。博士(医学)。大学卒業後、福島県市町村立学校栄養職員として勤務。より専門性を高めるため福島県立医科大学大学院衛生学・予防医学講座研究生を経て医学専攻博士課程へ。2018年より郡山女子大学家政学部食物栄養学科講師、2021年より同学准教授、現在に至る。
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