私の専門はコンピュータを使った宇宙の研究。望遠鏡を使って遠くにある物体を観測する観測天文学は現代でも重要な研究手段ですが、遠い天体の内部は巨大な望遠鏡でも決して覗くことはできません。そこで用いるのがシミュレーションという手法。飛躍的に性能が進歩したコンピュータのなかに宇宙空間を再現し、見えない場所で何が起きているのかを調べることで、遠く深い宇宙の現象も手に取るように詳しく理解できるようになってきています。最近の主要な研究テーマは「土星のリングの模様」「小惑星がどうやってできたのか」「銀河の渦巻きの理論モデル」「粒子シミュレーションの計算アルゴリズムの開発」など。スーパーコンピュータや計算アクセルレータなど、高速計算のためのコンピュータを活用しながら、天文学に関する研究に取り組んでいます。
社会の課題を発見し、あらゆるデータを活用・分析して課題解決につなげたり、新たな価値を創造する学問であるデータサイエンス。統計学・社会科学・情報学の3領域を組み合わせた文理融合カリキュラムのなかで担当するのは、データ処理を行うために必要となるプログラミングについての知識・概念について学ぶ「アルゴリズム論」「数理モデル」などの講義と、実際のプログラミングを用いてコンピュータグラフィックの作成を行う演習です。講義で学んだ知識を活用することで確かなものにし、情報学の実践的なスキルを養います。
プログラミングを学び始める入門期には、簡単なプログラムでもいいので、自力で作り上げる体験を重ねることが大切。女性データサイエンティストをめざして充実した大学生活を送り、成長につなげてほしいと思います。
主な担当科目:アルゴリズム論、数理モデル
1979年山口県生まれ。2002年京都大学理学部卒業。2004年同大学理学研究科物理学宇宙物理学専攻修士課程修了。2007年同博士後期課程修了。国立天文台天文シミュレーションプロジェクト研究支援員、同特任研究員、筑波大学計算科学研究センター研究員などを歴任した後、2017年京都女子大学現代社会学部講師。2022年データサイエンス研究所副所長就任。2023年4月より現職。博士(理学)。