私が研究しているのは「国際法」。武力紛争や領土問題、環境問題、人権問題など、国際社会が直面している様々な問題には、国家間のとりきめである「国際法」にもとづいた解決がとても大切です。それでは、言語や文化、民族、宗教などの異なる国家間での話し合いのためには、何が大切なのでしょうか。それは、お互いを尊重し、それぞれの多様性を理解することです。しかし「多様性の理解」とは単に「相手と同じになる」ということではありません。他者を理解し、受け入れる姿勢は、しっかりと確立された「自己」があってこそ生まれるものなのです。
国際社会の共通言語ともいうべき「国際法」。学生の皆さんにも、この学問を通じて、世界の変化や多様性に対応できるしなやかさと、自分自身を見失わない自律性を身につけてほしいと考えています。
前田ゼミでは、関西国際法ディベート大会への参加に取り組んでいます。この大会は1996年から続く伝統ある大会で、同志社、立命館、関西学院、龍谷など近畿圏の大学が集い、大学を超えて国際法の勉強に切磋琢磨することを目的に、毎年12月に開催されています。前田ゼミは初参加の2013年より優秀な成績をおさめ、2019年度も優勝を果たしました。ディベートは、単に言いたいことを言う場ではありません。ゼミでは様々な問題を多角的な視点で捉え、相手の主張は何かを理解し、何をどう表現すれば相手に伝わるのか考える力を養っていきます。
時代や価値観の変化にともなってスピーディーに姿を変えていく国際法の醍醐味にふれながら、世の中の問題の本質をとらえる力、社会で求められるコミュニケーション力などを身につけてほしいと考えます。
専門分野:国際法(国際人権法)
略歴/京都大学法学部卒業、京都大学大学院人間・環境学博士後期課程修了(京都大学博士〈人間・環境学〉)。外務省勤務時には、国際連合(国連)の人権分野の外交会議や、国内の男女共同参画政策などを担当。その後、神戸大学大学院国際協力研究科助教を経て、2011年4月より現職。国連拷問禁止委員会委員、法務省難民審査参与員、京都市人権文化推進懇話会委員。