私の研究分野は、問題解決学ともいわれる「オペレーションズ・リサーチ(OR)」です。ORは、電車の運行システムや企業の経営戦略など、複雑な条件が絡み合う問題の最適解を導くときに力を発揮します。私が興味をもっているのは、「好き・嫌い」といった個人の好みの奥にある数理メカニズムです。あいまいな人間の主観的判断を数値化し、客観的に測ることができるようになれば、効果的な意思決定に役立つと考えています。ORは、現実世界で起こる複雑な問題の本質を抜き出し、抽象化して数式にするのですが、単純すぎても、忠実すぎても、適切な分析ができません。この数理モデルを導く作業が、難しく、おもしろくもあるところ。AIが計算を代替する時代に、数学で身につくこの「世の中の本質を見る力」こそ、社会でますます重要になるように思います。
小畑先生の担当授業は『ベイズ統計学』です。ベイズ統計は、少ないデータでもそれなりの推測が可能なうえ、データが追加されることで推測がさらにアップデートされていく点が特徴。授業では、ベイズ統計の方法論や、機械学習に利用する方法などを学んでいきます。また、先生は『数理モデリング』も担当します。ここでは、数理モデルとして表すことのできる実社会の問題を紹介しながら、モデルの作り方、モデルの解き方、モデルの良し悪しの測り方について学習。将来直面するかもしれない問題の解決へのヒントにつなげることをめざします。
数学だけではなく、多くのことに興味や好奇心もって大学生活を過ごしてほしいと思います。また、考えた道筋や理解した知識を、自分自身の言葉で伝える習慣を心がけてください。それが、あなたの力になるはずです。
専門分野:統計科学、応用数学、統計数学、数学基礎、安全工学、社会システム工学
九州大学 理学部 数学科卒業。九州大学大学院 理学研究科修士課程 数学専攻修了。博士(情報科学)(大阪大学)取得。研究分野に関するキーワードとして、AHP(階層化意思決定法)、DEA(データ包絡分析法)、スポーツデータ分析、集団意思決定、投票データなど。