仕事で思い出深いのは、以前いた会社でアメリカに出向したときのこと。欧米をメインターゲットにしたゲームを制作するため、現地のスタジオでディレクションやストーリー作りを行っていました。そのときの経験で、「人が何をおもしろいと思うかは、人種や国籍などではさほど変わらない」ということを学びました。当時は家庭用ゲーム機が主流でしたが、今はスマートフォンゲームが人気の時代。現在の私は、スマホ専用のロールプレイングゲームの開発に携わるなど、今の時代でも「おもしろい」と思われるゲームを追究し続けています。でも、現状に甘んじず、時代や技術が変わっても自分をアップデートすることで、常に挑戦し続けていきたいです。
高校卒業後、なるべく早くプロの現場で働きたいと思っていました。バンタンを選んだ理由は、現役クリエイターによる指導なら現場の即戦力を学べると考えたから。また、当時はシナリオライターに興味があり、脚本や文章を勉強することで、ドラマや舞台、映画も含めて“物語を作ること”に携わりたいと思っていました。あるとき、ゲームプランニングについての授業を受けたことがきっかけで、将来はゲーム分野に進みたいと思い、講師の方に紹介されたアルバイト先のゲーム会社で働くことになりました。そこではディレクター見習いとして、できないなりに様々なことを経験。その後、25歳くらいのときに初めてディレクターになり、現在に至ります。
今でも思い出に残っているのは、日本語の基本的な書き方の授業ですね。例えば、行頭は一文字あけるとか、句読点の付け方や人称視点の話とかの基本的なことではありますが、企画書を作るときなど仕事をするうえで役に立っています。ほかに、ゲーム業界を目指す人に伝えたいのは、「ゲームが好きで、それを提供できるということに、自覚と誇りをもって欲しい」ということです。人が娯楽に費やせる時間が限られている中で、ここまで人を熱中させることができるエンターテインメントって、ほかになかなか無いと思います。それに、やはり好きなことだからこそ、おもしろいものを生み出せるのではないでしょうか。
ディライトワークス株式会社 クリエイティブオフィサー/専門部ゲーム学部 卒/1998年卒/2000年にスクウェア(現スクウェア・エニックス)に入社。2009年からSQUARE ENIX, INC.(北米)に出向。帰国後、スクウェア・エニックス・ホールディングス、Tokyo RPG Factory を経て、現在に至る。これまでに、『KINGDOM HEARTS』『MURDERED 魂の呼ぶ声』のほか、1000万DLを突破した『Fate/Grand Order』など、数多くのユーザーに支持されている人気タイトルを手がけている。