私の作品の制作スタイルはセルフポートレートで、基本的に被写体として写真に写るのも、ヘアメイクもスタイリングもシャッターを押すのもすべて自分一人で行います。テーマやコンセプト、構成を考えアウトプットしていく作業も孤独が多く楽しいことだけではありません。ただ、一から作り上げた作品を展示して、見に来てくれた人の意見や感想を聞き、祝杯をあげ自分を労う時間が次の作品へのモチベーションとなります。写真が持っているメディアの特性や性質を探求しながら社会的な実践をしたり作品を生み出すことは、表現者としてとても有意義な研究だと思っています。
最初に写真に興味を持ったのは中学の終わりくらい、一眼レフを実家で見つけた時でした。その時は写真よりカメラ機器に興味があったのですが、高校受験で写真部がある学校を選びました。高校三年間はモノクロ写真を撮って暗室にこもり、好きなアーティストの写真集を眺める日々を過ごし、自分ももっと写真で表現したいと思うようになっていました。商業写真にも興味があったので、就職先の実績に東京のスタジオが多数あったNVAの写真学科に入学しました。卒業後スタジオに就職し、その後高校時代のもう1つの願いを叶えるためベルリンに移住し、写真メディアを扱うアーティストとして活動しています。
200年もない写真の歴史ですが、スマートフォンの普及で「一億総カメラマン時代」と言われるように、誰でも手軽に気軽に写真が撮れる時代になりました。映像文化の変容は驚くほどに早いです。それなら学校や勉強は必要ないのでは?と思う人もいると思います。それでも私は写真や美術を学校で学んで良かったと思っています。1番のポイントは仲間に出会えること、そして自分が作りたいものを制限することなく制作できる機材や設備などの環境が整っていることです。私は夢は1つに絞らなくていいと思っています。まずは今興味を持っていること、好きなことに突き進んでみましょう!
フリーランス/写真学科/2005年卒/2005年、名古屋ビジュアルアーツ/写真学科卒業。卒業後、六本木スタジオに勤務。2011年に渡独し、2013年から2022年までベルリン、ヴァイセンゼー美術アカデミーのビジュアルコミニュケーション学科に在籍。現在もベルリンにてアーティストとして制作しながら、商業系のフォトグラファーとしても活動中。2017年に「Familie werden」でドイツの写真新人賞「gute aussichten」を受賞。「Familie werden」は受賞記念展を含め世界10ヶ国で展示された。