僕が担当する“ハウスエンジニア”はステージの演奏をミックスし、スピーカーをとおして、お客さんに届ける音の環境をつくる仕事。ミュージシャンの演奏、自分のミックス、スピーカーから出る音の調整。すべてのつじつまが合っていないとイメージどおりの音は作れません。会場の環境も違えば、バンドのコンディションも毎日違うなか、それをいかに“平ら”にできるかが僕らのやるべきこと。会場の隅々までいい音を届けるのは難しいけど、それが実現できたときはうれしいです。アーティストの演奏が音の入り口だとすると僕は出口担当。その間にたくさんの人が関わるわけですから、自分の手腕だけでなく、共同作業という点も面白いところです
僕は高校時代にバンドをやっていたんです。でも、バンドだけで生きていく実力がないことには気がついていて。どうしようかなと考えていたときに、両親から「専門学校とかもいいよ」っていってもらえたので「じゃあせっかくだから2年間、PAについて学んでみよう」と思ったのが最初です。
音楽の知識があるに越したことはないから、やっぱりいろいろな音楽を聴いてみることですね。技術的には覚えることは山ほどありますが、どんな音をいいと感じるのか? まずはその“自分のものさし”みたいなものがあればいいと思います。
ベースメント(同) 勤務/音響技術科/1994年卒/東京事変『Live Tour 2020 ニュースフラッシュ』やSaucy Dog ARENA TOUR 2022『Be yourself』などトップクラスのアーティストのコンサートにPAとして携わる岸さん。「東京事変のように大規模なライブでお客さんが聴き入ったり、盛り上がっているのを見ると、『自分がミックスした音をみんなが聴いてくれているんだ』って気持ちよくなったりはしますね」と笑う。