発達障がいや身体的な障がいのあるお子さんのご自宅に伺って、リハビリを行っています。リハビリといっても、身体的な動作の向上だけではなく、一緒にゲームをして感情のコントロールをサポートしたり、宿題をしたり、一緒に買い物に行ってお金の計算をするなど、子どもの症状に合わせたオーダーメイドのリハビリです。年齢も幅広く、生後3カ月の赤ちゃんから大学生までとさまざま。ときには養育に悩む保護者の方々の心のケアにも携わります。「その子に一番合うリハビリとは何か?」と常に自問自答しながら行うので難しいこともありますが、少しでも子ども達ができることが増えると本当に嬉しく、やりがいを感じられる仕事です。
専門学校に在学中、発達学を学んだ際に子どもに対する専門的な養育やリハビリの重要性を知り、そうした分野で仕事がしたいと思い始めました。卒業後は施設に就職して子どもたちのサポートを行っていましたが、施設内で養育を提供するだけではなく、生活の場である家庭での養育ができれば、もっと子どもたちもリラックスして「できること」が増えていくのではないかと考え、訪問リハビリテーションの道を選びました。「生きづらさ」を抱え込んでいる子ども達や保護者は、私たちが想像している以上にたくさんいます。そんな方々のために少しでも役に立ちたい。子どもたちと向き合うたびに、そうした気持ちがますます大きくなっています。
学生時代は、グループワークなどを通して「楽しむ・聞く・話す」力を養いました。中でも相手の話をよく聞いて想いを受け止めることは、今の仕事にとても役立っています。また自分の考えを合理的に、わかりやすく相手に伝えるスキルも訪問リハビリテーションの現場では欠かせないことです。授業では小児への関わりについて多くを学ぶことはありませんでしたが、今思えばさまざまな授業の中に、小児の養育につながるヒントがあったのかもしれません。今は目の前の仕事としっかり向き合うことが私のやるべきことだと思っていますが、ゆくゆくは小児の養育やリハビリについて、母校の後輩たちに伝えられる日がくればいいなという想いも抱いています。
訪問リハビリテーション施設 勤務/作業療法士科 夜間課程(現・作業療法士科)/2020年3月卒/高校卒業後は介護施設などに勤務。施設で働くうちに、理学療法士や作業療法士の仕事に興味を持ち、東京福祉専門学校に入学。東京福祉専門学校を卒業後は子どものリハビリを行う施設に就職し、その後訪問に特化したリハビリを行う現在の職場に転職。「発達障がいや体の障がいをもつ子どもが、自宅でリハビリを受けられることはまだあまり知られていません。そうしたシステムがあることも、悩みを持つ保護者の方々に知っていただけるよう、保育園や幼稚園にポスターを貼ってもらうなどの活動も行っています」(英さん)。