日本バイオセラピー研究所で、がんの新しい治療法である再生医療の「免疫細胞療法」に関わる細胞培養の技術者として働き始めて4年目を迎えます。病院やクリニックなどの医療機関より届けられる患者様の血液や成分採血などの検体から、がん細胞を攻撃する「ナチュラルキラー(NK)細胞」を抽出し、培養して再度、患者様のもとへお届けするのが主な仕事です。患者様と直接、お会いする機会はありませんが顕微鏡越しに見る細胞が輝いていたり、元気がなかったりする様子で、体調が分かったりもします。もっとがんばってNK細胞を増やすことで間接的にですが、がん患者様の症状を少しでも改善できればと思い、日々の業務に取り組んでいます。
高校時代に祖父が「がん」を患ったことが再生医療の道を目指すきっかけです。その頃「がんのフェーズが進めば亡くなる方も多い」といった内容のテレビ番組を見ることも多かったので、身内の病魔は本当にショックでした。幸い祖父は早期発見のおかげで大事には至らず今でも元気ですが、それでも抗がん剤治療による副作用は大変だったそうです。当時はまだ「がん」についての知識はなかったのですがその経験が「がん治療に役立ちたい」という今の仕事の原点になりました。高校生の頃はコミュニケーションが少し苦手だったのですが「間接的にでも患者様の役に立ちたい!」と思い、再生医療の技術者の道を目指して東京バイオに進学しました。
インターンシップ先の国立成育医療研究センターでは母子感染の原因となる「サイトメガロウィルス」の研究に携わりました。培養している細胞にウィルスを感染させた状態を顕微鏡越しに観察していくうちに元気のある細胞、ない細胞がいて「おもしろい!」と興味を持ったことが、思えば今の仕事につながっています。先生たちが「ウィルス感染している母子の役に立ちたい」という想いで研究している姿を目の当たりにして「研究や実験の目的」を理解すれば、自然と自分が行っている実験の意味も明確になることを学びました。現在の私の仕事も「がん治療に役立ってほしい」という目的があるからこそ、がんばれています。
株式会社日本バイオセラピー研究所/動物バイオコース(現 バイオ医薬品コース)/2017年3月卒/在学中は希望のインターンシップ先、就職先を叶えるために体調管理にも気を付けて日々の実験に励んでいたという飯倉さん。数ある学校求人の中から「間接的に誰かの役に立つ」「がん治療」というキーワードから現在の職場を第一志望に。履歴書や自己PR文、面接まで学校のフォローでしっかり備えて挑めたことで就職を勝ち獲れたそう。「実験を仕事にすることは一見、地味かもしれませんが、好きなことを仕事にしているという意味ではプロスポーツ選手と同じ。これからも日々大好きな実験を通じて患者様の役に立っていきたいです」と語る。