私は、地元山梨県で1902年に創業し、地域に根差し発展してきた総合楽器店にピアノ調律師として勤務しています。そのため、長年お付き合いのある個人宅や保育園、幼稚園、学校などで調律を行っています。加えて、お客様の新規開拓に向け、きめ細やかな営業も心がけています。調律師は真摯にピアノと向き合う面もあるとともに、営業力やコミュニケーション能力も必要な仕事。「自ら仕事を生み出す」という面でもやりがいを感じます。調律現場では臨機応変に対応し、その場で問題を解決する場面もあります。そのため、お客様からの評価がすぐにわかり、「いい音になったね」と気に入っていただけたときが、何よりも嬉しい瞬間です。
在学中は実技習得の時間数が多く、調律や鍵盤のタッチ調整を行う整調、修理技術を基礎から応用まで段階的に身につけることができました。そのため、入社後3か月ほどで独り立ちができ、現場でさまざまな経験を積む機会を得ることができました。加えて、音楽文化やその歴史に関する授業やビジネスの授業も充実していたので、お客様とのコミュニケーションや信頼を得るために、とても役立っています。学生時代の思い出として、クラスメイトの存在は欠かせません。基礎技術を身につけるために反復練習を重ね、苦しく感じることもありました。しかし、クラスメイトの励ましで、とても楽しく充実した学生生活を送ることができました。
在学中、個別防音室で長時間ピアノに向かい合い調律を行っていました。集中力や忍耐力が試されることが多く、目標を見失う瞬間もありました。そのため、調律師を目指す段階で「なぜ、この仕事に就きたいのか」という目標が明確であればあるほど、そのことが心の支えとなるのではないでしょうか。さらに、調律師への理解を深めるために作業の見学や、どのように技術を身につけていくのかを知るためにオープンキャンパスへ参加することも大切だと思います。私は高校時代に、音楽の先生のお宅でピアノの調律を見学させていただき、仕事を理解するにつれて、調律師への憧れが増していきました。そして、この道に進むことを決意しました。
内藤楽器 株式会社 勤務/ピアノ調律科/2023年卒/5歳からピアノを始め、中学・高校時代には吹奏楽部に所属するなど、幼い頃から音楽に親しんでいたという加々見さん。高校の進路選択時、「ピアノ」「裏方」というキーワードからピアノ調律師を目指し始めたという。充実した施設や設備に魅力を感じて中部楽器技術専門学校に入学。就職活動では地元での就職を目指すため、部活動でもお世話になっていたという内藤楽器 株式会社に何度も足を運び、社長に熱い想いをアピール。この歴史ある楽器店の内定を勝ち取った。「何事も妥協しないで挑戦することが大切。今後はさらに経験を重ね、お客様に直接指名される調律師になりたいです。」と語ってくれた。