現在、造形会社や着ぐるみ制作などのアシスタント業のかたわら、フリーランスの造形作家として、オーダーメイドの作品や個人作品などを制作しています。自分自身の技術と知識を用いて作業ができ、さらに成長していける点に大きなやりがいを感じています。つまり、自分がこれまで得た知識と磨いてきた技術を応用してより良い商品や作品を仕上げること、仕上がった作品に対する他者の反応を正しく理解・解析して次の制作に生かしていくこと、そこに創造することの喜びがあります。そして、こうした積み重ねが自分自身を豊かにしてくれるところも、この仕事の魅力だと思います。
専門学校を卒業して数年後に、独立して活躍されていた恩師から仕事のお誘いを受けたのがフリーになったきっかけです。それ以来、度々仕事のお誘いや依頼などいただくようになり非常に感謝しています。このように専門学校で得た人脈が仕事のきっかけとなったわけですが、本来なら人脈は得難いものです。ただ一度得ると連鎖的に増え続け、仕事のきっかけも増えます。そこで気をつけなければならないのは、この業界だけでのつながりでは狭いということ。同じ業界内だけで人脈を築くよりも業界の幅を少しずつずらして人脈を築いていけば、あらゆる業界と関係を持つことができ、仕事の幅も広げていけると実感しています。
重要なのは、自分が一番やりたい分野を選ぶこと。その際、その分野が「自分にとって本当に一番」なのか、一過性のものではないのかをよく考えましょう。次に、「好き」と「得意」は別ものということ。好きな分野だけれど得意ではない場合や、逆に得意な分野だけど好きではないこともありますから。最後に、情報です。その分野の表面的な部分だけではなく、深い部分を知り長所だけではなく短所の情報も得て、その分野の展望を見極めることが大切です。業界を含め社会の状況は変化し続けます。以上のことがらと情報を踏まえたうえで、総合的に導き出した答えが「自分にとって一番やりたいこと」の可能性がもっとも高いと思います。
フリーランス/特殊メイク学科/2011年卒/特殊メイクや造形の仕事に憧れて大阪デザイナー専門学校に入学。特殊メイク・特殊造形の基礎技術・知識を身につけながら、作品撮影のテクニックやイラストレーターやフォトショップなどのデジタルワークも修得する。現在は、制作会社などのでアシスタント業も行いながら、大阪を拠点に、制作依頼や個人作品の制作などをメインにフリーランスとして活動。妖怪をテーマとした作品展「第3回なにわ妖隗祭」(2017年)をはじめ展示会への出展などを通し、新たな分野への挑戦も精力的に行い、活動の幅を広げている。