急性期から慢性期までを担うリハビリテーション病院の回復期病棟に勤務。患者さんの退院後の生活に向けた嚥下訓練や言葉のリハビリテーションを担当しています。リハビリテーションは患者さんにとって難しいこと、できないことに取り組んでもらうもの。消極的な表情をされる方もいらっしゃいますが、できるだけ楽しく取り組んでもらおうと、まず自分が笑顔でいることを心掛けています。言葉が困難だった患者さんが少しずつご家族と会話できるようになったり、食べられるようになったりするのは本当にうれしいことです。まだ経験の浅い自分に「きみのおかげで良くなった」と言葉をかけてくれた患者さんの温かい心にも感動しました。
「将来は人の役に立てる仕事に就きたい」と考えたときに、まず頭に浮かんだのが医療職でした。どんな職種があるのか調べていくうちに、言語聴覚士という仕事があることを知りました。僕は料理やお菓子づくりが趣味。食べることに興味がある人間なので、食べ物のかたさを変えたら、障がいでご飯が食べられなくなった方も食べられるようになるのではないか。見栄えを華やかにするなどの工夫をしたら、食べようという意欲がわいてリハビリテーションに取り組めるようになるのではないかと思いました。患者さんの「食べる」のお手伝いをしたいと思ったのが、言語聴覚士をめざすことを決めたきっかけです。
チーム医療の視点で物事を考えることです。一人の患者さんのリハビリテーションには医師をはじめ、看護師や栄養士、他のリハビリテーション職など、多くの人間がチームとして関わります。患者さんにとって食べやすい体勢はどの形か、使いやすい道具はどれか。どれをとっても自分の分野だけでは解決できません。どの職種がどんな視点で関わっているか知ることは、よりよいリハビリテーションの提供につながります。その視点を学生のうちから学べたことはとてもよかったと実感しています。また、大学時代のゼミの先生からは、勉強でわからない点を教えてもらうことを通し、「相手が理解できる伝え方」を学びました。
医療法人ひまわり会 札樽病院/心理科学部(現・リハビリテーション科学部)言語聴覚療法学科/2019年3月卒/木村さんにとって仕事の励みになっていることは、職場の同期との会話や、大学時代の同じ学科の仲間と会うこと。おいしいものを食べながら、仕事の話や他愛ない話をすることが、毎日を頑張るモチベーションにつながるそうです。いまの目標は、患者さんから悩みや不安を打ち明けてもらえる人になること。そのための接し方はもちろん、勉強会の参加や論文などにも力を入れて知識を磨く予定です。日々のできごとに学びを得ながら、温かな先輩たちに囲まれて経験を積んでいます。