日本の育児用品ブランドであるピジョンに勤務する私は、19年4月までの5年半、ワシントンDC近郊にある米国子会社に駐在しました。当社2つのブランドの中南米エリアへの輸出営業を担当し、アメリカを拠点にメキシコ、ペルー、コロンビア、チリなどの国々を頻繁に出張していました。以前、ペルーの小売店で当社の哺乳瓶を手にしたお母さまに商品を選んだ理由を尋ねたところ、あらゆるブランドの中で唯一、赤ちゃんが飲んでくれたのがピジョンの哺乳瓶なのだと、心から嬉しくなるコメントを頂いたことがありました。私たちの商品が、世界中の赤ちゃんとそのご家族をサポートしている。そんな大きな誇りを胸に、いつも仕事をしています。
当初は中南米をひとまとめにして、どの国も似たようなものかなと思っていました。しかし実際は、例えば挨拶の仕方ひとつを取っても各国でかなりの違いがあり、国ごとにカラーが異なり多様性に富んでいることを出張のたびに実感しました。それはもちろん、仕事に直接関わるマーケットの特性・分析でも同様のことが言えます。海外営業の仕事では、こうして現地を訪れる都度、学ぶことが数多くあります。現地の販売パートナーをはじめ様々な人とコミュニケーションを図ったり、店舗リサーチを通じて現地の人のリアルな生活文化にふれたりと、旅行で訪れるのとは全く違った『異文化体験』ができるのは、海外に関わる仕事の一番の魅力ですね。
アメリカに赴任当初は、コミュニケーションの難しさに直面する場面が何度もありました。その経験から、仕事をする上で大切にしていることが3つあります。1つ目が「具体的な数字やデータで示すこと」、2つ目が「事実と意見を分けること」、そして3つ目が「前向きな表現で終えること」です。これまでコロンビア人、アメリカ人、イギリス人など、多様なバックグラウンドを持つ上司や同僚たちと仕事をしてきましたが、これら3つを意識して話すことで、文化は違っても誤解なく伝わると学びました。入社後、現在に至るまでのキャリアは充実感に満ちたものでした。これから10年先も、できる限り海外と接点を持ちながら仕事に取り組んでいきたいです。
ピジョン株式会社/外国語学部 国際コミュニケーション学科/2008年卒/入社後、本社海外営業グループ(当時)で韓国、フィリピン、タイ、チリ、メキシコ等の輸出営業を担当。2013年からアメリカのグループ会社・ランシノラボラトリーズへ出向し、中南米エリアの営業を担当する。2019年4月に帰国後、現在は東京にあるグローバルヘッドオフィスの経営戦略本部に所属し、5年半に及ぶ海外経験を活かしながら経営戦略の立案に携わる。