児童精神科のクリニックでカウンセリングや心理検査などを行い、さまざまな悩みを抱えた子どもや家族をサポートしています。カウンセリングでは時間をかけて相談者と話し、どこでつまずき、何に悩んでいるかを聞いて一緒に解決方法を考えていきます。その際に心がけているのが相談者の生い立ちや、これまでの背景を理解した上で接すること。人の心をサポートするのは大変なことも多いですが、子どもや家族が本来持っている力や強さを感じられたときは、やりがいを感じます。1年前までは落ち込みが強く辛い気持ちでいっぱいだった子が、元気を取り戻し「こんなことやってみたい」と笑顔で話してくれたときは、私自身も元気をもらえます。
高校のころから「人はどうしてこんなに違うんだろう?」と疑問に思い、いつしか人の心に興味を持つようになりました。それで大学では心理学を専攻。入学して心理学を専門的に学ぶうちに、悩みを抱えた方の支援をしたいと思うようになりました。一言で支援といっても簡単なことではありません。しかし、大学で基礎をしっかり学べたこと、多様な専門分野の先生方から幅広く学ぶことができたおかげで、この道に進みたいという気持ちが強くなっていきました。今は静岡県の心理職として勤務。医療、児童福祉、精神保健など、幅広い領域で臨床経験を積めるほか、公務員として事業の企画や運営も経験することができるので、とても勉強になります。
心理学には発達、認知、人格など、幅広い分野があり、そのすべてをしっかり学ぶことができました。大学時代は、講義で学んだ知識を経験として深めるため、ボランティアにも積極的に参加。知的障がいを持つ方の入所施設や、発達障がいのお子さんの会などでボランティアをし、その経験から対人援助職への関心が深まりました。先生は接しやすい方ばかりで、学業や卒業後の進路だけでなく、個人的な悩みも親身に聞いていただくことも多々。そのときに丁寧なアドバイスをいただいたことは、今でも記憶に残っています。人をサポートするためには、まずは自分の心と体が健康であることが大切。心理職としての基本も大学でしっかり学べたと思います。
静岡県立吉原林間学園勤務/心身科学部 心理学科 卒(2022年4月より心理学部 心理学科に改編)/2014年卒/大学卒業後、愛知学院大学大学院心身科学研究科心理学専攻に進学。浜松医科大学医学部付属病院を経て、現在は静岡県立吉原林間学園で臨床心理士・公認心理師として、悩みを抱える子どもや家族を支援。心理職には背景まで含めて物事を捉える深い洞察力が必要になる。そのため「子どもの話だけでなく家族や関係者からも話を聞き、多角的な視点からその子を把握するように努めています」と話す。人と関わる心理職には多様な価値観や豊かな感性も求められる。様々な経験を通して多様な価値観を受け止め、感性を高める努力は続けていきたいという。