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材料工学のここが面白い

分子レベルの違いによって、物質の特性はさまざまに変わります。こうした違いについて知るだけでも、見える世界はきっと豊かになるでしょう。また、材料はものづくりの基盤ですから、材料工学の発展が他の分野の発展に大きく貢献します。材料工学は私たちの生活を大きく変えるかもしれない、やりがいある学問分野です。(山形大学 工学部 高分子・有機材料工学科 西岡昭博教授)

※このコンテンツは2018年の取材に基づき構成しています

材料工学の発展が他分野の発展に貢献

分子レベルの違いが特性の違いを生む

材料工学ではさまざまな材料を扱いますが、原料が同じでも、特性に大きな違いが出ることがあります。例えば、プラスチックとひとまとめにいっても、衝撃に弱いけれど硬いもの、熱や溶剤に強いもの、ダメージに強く、薄くのばすことが可能なものなど、それぞれに特徴をもった数多くの種類があるのです。反対にいえば、これらの材料はすべて先人の研究から生まれたものですから、ちょっとした工夫でさまざまな性質をもった材料を生み出せる可能性があるということになります。その可能性の大きさは、材料工学を研究するうえでの大きなやりがいになります。
また、こうした性質の違いは、分子や原子といった、普段は目に見えない、意識することのないスケールでの違いが影響しています。そうした小さな世界のちょっとした違いが、物の特性に大きな影響を与えるのです。それを知るだけで世界の見え方は変わるでしょうし、身の回りにあるものへの興味や関心もおのずと高まってくるのではないでしょうか。

「こんなプラスチックが欲しい」をかなえる研究です

一つの発見が大きな可能性となる

もう一つのおもしろさ、そしてやりがいとなるのは、材料工学の発展が、他の学問分野の発展につながるという部分です。材料は、すべてのものづくりの基盤となるものです。新しい材料や加工技術が生まれれば、当然、それを応用した新たな製品が生まれます。たった一つの材料・技術でも、使い方は無限に広がっています。もしかしたらそれが、私たちの生活を大きく変えるものになるかもしれません。
また、私たちの研究室では高分子材料の成形技術を生かした食品加工の研究も行っています。そこでは、発泡スチロールなどの作り方を応用して米粉100%のパンを作ることに成功しました。こうした例は稀かもしれませんが、工学系の分野以外にも、その技術を応用できる可能性は十分にあり得るのですから、興味は尽きません。
材料工学は、人々の「欲しい」をかなえ、また、今ある問題を解決するための第一歩となる学問です。ものづくりを、そして人々の生活を豊かにしたいという気持ちがあれば、ここでの学びは非常に有意義なものとなるに違いありません。

取材協力:山形大学 工学部 高分子・有機材料工学科 西岡昭博教授

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