金属の内部に光ファイバを埋め込む
軽くて強い、そして「感じて動く」材料を研究
金属材料の専門家として、軽くて強い材料の開発に携わっていましたが、世界的に見ても、かなり早い時期に、まったく新しい機能を求めて「感じて動く」材料の研究に取り組み始めました。それを加速するきっかけになったのは、アメリカの学会でNASAの展示ブースで見たモーフィング・エアプレーンという未来の航空機です。
通常の飛行機は翼の形がほぼ固定されていますが、モーフィング・エアプレーンは飛行の状況に応じて、翼の形や状態を著しく変化させます。その姿に衝撃を受け、自ら検知し動作可能な材料の研究を進め、軽量金属の代表であるアルミニウムの内部に光ファイバなどをセンサとして埋め込む技術や、材料の組み合わせなどにより変形可能となるような画期的コンセプトを完成させました。通常、センサなどは材料表面に取り付けられますが、内部に埋め込むことで外部からの衝撃に強くなり、壊れにくくなります。さらに光ファイバを介して情報のやりとりが可能になります。例えば、光ファイバなどのセンサによって機体の状態をモニターし、金属疲労を検知、修復するようなシステムも可能になるでしょう。材料というと特定の性質をもつかたまりというイメージがあるかもしれませんが、最新のテクノロジーと融合したり、あるいは独自のまったく新しいアイデアにより、既存のイメージを覆すような能力、機能を発揮するものを創造できます。材料工学はとても刺激的な学問ですね。

防災・減災を主なテーマに、“感”じて“動”く“感動”的材料の研究を進める浅沼教授
津波が来ると高くなる堤防
航空・宇宙分野に加え、近年注力しているのが防災・減災分野です。
東日本大震災による大津波を教訓として、高さ10メートルを超える堤防の建設が進められました。たしかに堤防は津波の被害を抑える役割を果しますが、堤防により海が見えなくなったことで、住民が精神的不調をきたすなどの弊害が指摘されているほか、メンテナンス等に莫大な手間と費用を費やすことも問題視されています。百年、数百年に一度という津波のために多くを犠牲にするのはいかがかと考え、震災後から取り組んできたのが「津波襲来時に高くなる堤防」の開発です。まだまだ遠い道のりですが、夢の実現に向け研究を進めています。
この堤防はハニカム構造といって蜂の巣のようなほぼ六角形の集合体で構成され、通常は畳まれた状態で海に沈めておきます。津波などで水位が上昇すると、それに合わせて津波の高さまで立ち上がり、減波構造としての役割を果すという構想です。課題はまだいろいろとありますが、主なものは耐用年数で、100年以上動作させることが目標です。そのため、材料に波力発電の機能を組み込み、その電気により、モニタリングシステムを駆動する、材料の錆びる速度を遅くする、さらには壊れたときに修復するためのエネルギーとして利用する、などの考えで研究を進めます。一刻も早く完成させ、世界規模で発生する災害に対応していきたいと考えています。
全国のオススメの学校
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関東学院大学(表面工学コース)横浜バプテスト神学校を源流として「国際都市・横浜」の地に生まれて140年。地域、企業、自治体と連携し、世代、肩書、地域、国境、専門分野など、あらゆる境界を越えて、チャレンジする環境が「ここ」にあります。私立大学 / 神奈川
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拓殖大学(工学部)1900年より世界を志向してきた拓殖大学には、国際社会に貢献しうる人材を育成する「志」があります。留学制度の充実や15の言語科目の設置など、国際大学のパイオニアとしてグローバルな環境で学びを展開します。私立大学 / 東京
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北九州市立大学(情報システム工学科)文系は創立78年の歴史を誇る「北方キャンパス」、理系は北九州学術研究都市に「ひびきのキャンパス」を構えています。本学は「地域と歩む」「環境を育む」「世界とつながる」の3つのビジョンを掲げています。国公立大学 / 福岡
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専門学校 東京テクニカルカレッジ(建築監督科)将来やりたいこと・なりたい自分に合わせて選べる11学科をラインアップ!各業界で必要とされる知識と技術を、独自の教育システムと多くの実習授業や校外学習で学び、「わかる」から「できる」に変わります。専門学校 / 東京
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崇城大学(ナノサイエンス学科)充実した環境で専門知識や技術を学ぶことに加えて、特色ある「英語教育」や「アントレプレナーシップ教育」を通して大学卒業後に様々な職業において活躍するために求められている力を身につけることができます。私立大学 / 熊本
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埼玉工業大学(工学部)テクノロジーとヒューマニティの融合と調和を目指して、文理融合の2学部・5学科・14専攻を設置。国家資格公認心理師を目指すカリキュラムも開講。私立大学 / 埼玉
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京都府立大学(環境科学部)国公立大学 / 京都
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山形大学(工学部)山形の美しい自然環境の中、4つのキャンパスに、6学部1学環を有し、約9千人の学生が学ぶ東日本有数の総合大学です。高度な専門教育と教養教育に特色を持ち、「人間教育」を重視しています。国公立大学 / 山形
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湘南工科大学(人間環境学科)ロボット、エネルギーからAI、プログラミング、デザイン、スポーツ工学まで、社会の課題解決に挑む、創造的な技術力と実践力を備えた技術者を育成します。私立大学 / 神奈川
材料工学とはどんな学問?
材料工学とはどんな学問?
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もっと先生たちに聞いてみよう

温度差で発電する夢のエネルギー材料を開発する先生
東京都市大学 理工学部機械工学科
丸山 恵史 准教授

技術職や研究職、システムエンジニアを目指せます
静岡理工科大学 理工学部 物質生命科学科 ※2026年4月に理工学部 理工学科に改組予定
佃 諭志 准教授

湘南の街を走る、電動アシスト四輪自転車を開発する先生
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力学やCAD設計の知識を深めて、将来は自動車開発に携わりたい
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大和大学 理工学部 理工学科 電気電子情報工学専攻
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将来は一級建築士として幅広い分野で活躍したい
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もっと卒業生たちに聞いてみよう

コミュニケーション力と自分で考えて行動する力が身につきました
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工学部 ナノサイエンス学科 卒

経験を積んで、お客様からも会社からも信頼される建築積算士になりたいです!
日本理工情報専門学校
建築デザイン科卒

「ものづくり」 を支える技術。学んだIoT技術・AI技術を生かしています
日本理工情報専門学校
電子・情報工学科 卒