世界を変える影響力を持っている
材料開発は世の中を変える力をもっている
医療に携わる職業というと医者が真っ先に浮かびますが、医者は一人ひとりと対面して診察・治療を行う仕事ですから、生涯をかけても救える人数には限度があります。
その点、応用化学の側面から医療に携わると、事情が違ってきます。私の研究室でも医療用の新素材を開発していますが、これが実用化されて世界中で使われるようになれば、いっぺんに何十万人という人を救うことができます。これが応用化学や材料開発の力です。
また、こんな話もあります。海の岩場などでよく見かけるフジツボという貝が船の底に張り付くと、航行速度に影響を与えるという問題がありました。そこで、フジツボがくっつきにくい性質を加えた塗料を開発して、船に施したところ、船の燃費が回復し、船舶関係者から大いによろこばれたというのです。新しい塗料の開発といった応用化学の力が、エネルギー問題にも貢献したわけです。
医療材料や塗料に限らず、身の回りにはプラスチックや繊維など、応用化学の成果で生まれたものがあふれています。そこから新しい物質を生み出すのも応用化学ですから、応用化学は世の中全体を変える力をもった夢のある学問といえるでしょう。

奥の大きい機械は蛍光顕微鏡。画面に映っているのは多孔質粒子
学んだことが意外なところで生きてくる
実は、私は中学生くらいまであまり化学が好きではありませんでした。ところが通っていた高校が化学に力を入れていて、年間約30回もの実験とレポートを課す学校だったので、実験をやるうちにどんどん化学が楽しくなっていきました。
そんな経緯があって大学は応用化学科に迷いなく進みました。学部4年生で化学工学分野の研究室に配属してからは、生物化学工学という、酵素やタンパク質といった生物由来の物質の働きを高めるために最適な手法を開発する分野の研究に取り組みました。
その後、生物化学工学の研究には一旦区切りをつけてまったく別の研究職に就き、そこで出会ったのが現在のバイオマテリアル(医療用の材料)の研究です。
おもしろいもので、自分の中では生物化学工学の研究には区切りをつけてまったく別の分野に転身したつもりだったのですが、バイオマテリアルの研究を進めるにあたって、生物化学工学で培った「条件の最適化」の考え方を使うことがたびたびあります。知り合いのバイオマテリアルの研究者にも、「村上さんの研究の進め方は化学工学の最適化の方法を使っている」と言われることがあります。
学んだことがいつどこで役に立つかはわからないものなので、物理でも生物でも、有機化学でも無機化学でもいろいろなものを学んでおくといいと思います。
全国のオススメの学校
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京都工芸繊維大学(工芸科学部)国公立大学 / 京都
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佐賀大学(理工学部)国公立大学 / 佐賀
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金沢大学(理工学域物質化学類)国公立大学 / 石川
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千葉工業大学(応用化学科)日々進化し続ける世界を支えるプロフェッショナル人材となるために、5学部17学科、5研究科14専攻の学びがあります。専門性に特化したカリキュラム、最先端の充実した学習環境が、就職の強さにつながっています。私立大学 / 千葉・東京
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中央大学(基幹理工学部)中央大学は「實地應用ノ素ヲ養フ」の精神を掲げ、創立140周年に向け、法学部都心移転、理工学部再編、新学部創設などの大規模な改革を推進し、世界で存在感を高める大学へと躍進しています。私立大学 / 東京
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武庫川女子大学(環境共生学科)女子大最多の学生数一万人を誇る女子総合大学。文系から理系、スポーツ、芸術系まで幅広い学びにより、自らの意志と行動力で可能性を拡げる、自立した女性を育成しています。私立大学 / 兵庫
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明治薬科大学(薬学部)創立123年の伝統校としての実績と、2学科制の特色ある薬学教育。約4ヶ月に及ぶ実習・演習を行う独自研修プログラムや大学院と一体化したカリキュラムにより、最新の医療薬学教育を行っています。私立大学 / 東京
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国士舘大学(基礎理学系)国士舘大学は7学部(政経、体育、理工、法、文、21世紀アジア、経営)を持つ総合大学です。世田谷・町田・多摩の各キャンパスに、研究・教育活動を行うための施設が充実。快適な環境で、社会で役立つ学びができます。私立大学 / 東京
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関西学院大学(生命環境学部)スクールモットーである「Mastery for Service(奉仕のための練達)」を体現する、創造的かつ有能な世界市民を育成します。就職サポートも充実しており、20万人を超える卒業生は、様々な分野で活躍しています。私立大学 / 兵庫
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応用化学とはどんな学問?
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