どのような種類の微生物がどのような役割を担っているのか調べる
藤本尚志教授。ろか装置を使って目に見えないほど小さい微生物を水中から取り出す。
環境を考える上で欠かせない微生物のはたらき
水、土壌、そして他の生物の体内に至るまで、あらゆる空間に存在するのが、微生物という小さな生き物たちです。その中でも私が注目しているのが、水中の微生物です。
微生物にはさまざまな種類があり、それぞれ違った特徴を持っています。たとえば生物の体内に入ると病気を引き起こすようなものもいれば、腸内細菌など健康や生命維持に欠かせないものや、発酵など食品の製造に役立ってくれるもの、さらに視野を広げると、地球環境にも深く関わる微生物もいます。
中学校や高校の生物の授業で、「微生物は他の生物の死骸や排泄物などの有機物を無機物に変える」といったことを習ったのを覚えている人もいるでしょう。つまり、多くの種類の微生物たちが地面や水中をきれいにする役割を担っているのです。彼らがいなければ死んだ生物はいつまでも朽ちることがなく、地面も水中もたちまちいっぱいになってしまいます。その前に、排泄物などの汚れで埋まってしまうかもしれません。そうならないのは、一部の微生物がせっせと有機物を分解してくれているからなのです。このような微生物の役割は実社会でも活用されており、たとえば排水処理場では多様な微生物から構成される活性汚泥と呼ばれる泥により有機物を分解させ、水をきれいにしています。
未来の水環境を守るため微生物の特徴を明らかにする
微生物は地球上の物質循環に重要な役割をはたし、我々の生活環境を保全する上で重要であるにも関わらず、現在、微生物についてわかっているのは、ほんの一部と言われています。種類が多く、どんなものがいるのか、どんな特徴を持っているのかといったことをほとんど調べられていないのが現状です。そうした状況の中で私が取り組んでいるのが、水、特にダム湖に生息する微生物の研究です。
微生物の中には、アンモニ有無イオンを亜硝酸イオン、硝酸イオンへと酸化するものがいることがわかっています。このような微生物は酸化細菌と呼ばれ、自分の細胞を作る際に、二酸化炭素を用います。窒素や炭素の循環を理解することは、地球環境の保全、水質環境の帆円を考える上で非常に重要です。これらの微生物の生態をつまびらかにできれば、先に挙げた排水処理場の例のように、なんらかの形で活用できるに違いないと考えています。
水は、全ての生き物にとって欠かせないもの。そんな水の環境を守るために、ミクロな世界の研究が欠かせないのです。
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