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農学ではこんな研究をしています

自然界にはユニークな特徴をもった昆虫や、優れた機能をもつ動植物が数多く存在します。その特徴を徹底的に解析・分析するところから画期的な製品や食品を開発し、消費者から生産者まで共に喜べる社会のしくみを築きあげること(デザイン)を目指して、研究を続けています。(東京農業大学 農学部デザイン農学科 長島孝行教授)

※このコンテンツは2018年の取材に基づき構成しています

ユニークな特徴や機能を持った昆虫・動植物を徹底的に解析し、画期的な製品を開発

桑の葉の秘密を生かした血糖値の上がらない和菓子

絹の原料となる繭はカイコという昆虫が作り出すものです。そのカイコは桑の葉をモリモリ食べて成長します。カイコにとって桑はごちそうですが、ほかに桑の葉を主食にしている虫はいません。なぜでしょうか。私は桑の葉にはほかの虫には毒となる物質が含まれているのではないかと考えました。調べてみると、実際、血糖値の上昇を抑えるデオキシノジリマイシンという物質が含まれていました。糖分は重要なエネルギー源ですから、食べても食べても血糖値が上がらないのでは見向きもされないはずです。では、カイコはなんでそんなものを食べられるのか。それはカイコだけがデオキシノジリマイシンを消化する酵素をもっているからなのです。
血糖値が上がらないと聞けば、年中食べすぎの人間にとっては薬も同然です。実際、桑の葉の成分を混ぜた青汁が販売されていますが、私はもう一歩踏み込んで考えました。これを私の大好物の和菓子に練りこんだらどうだろうと。そこでさらに実験を重ねたところ、桑の成分を混ぜた和菓子を食べた人は、1時間たっても血糖値の上昇が穏やかで、そこからゆるやかに元に戻っていたのです。甘いものを食べると通常は血糖値が乱高下して、糖尿病のリスクを高めます。しかし、これならそれを防いで安心して和菓子を楽しめるようになるのです。
大事なのはここからです。和菓子にする以上、おいしくなくてはいけません。見た目の色合いも大切ですし、和菓子本来の味をじゃまするものであってもいけません。私は1000品種以上ある桑をしらみつぶしに探し、独自の改良も加えて、おいしい桑の葉の品種、栽培法、加工法にたどり着きました。それが私たちの「食用桑」です。そして、老舗の和菓子屋さんとタイアップして製品化に漕ぎ着きました。桑の葉シリーズはすでに5種類販売されていて、静かなブームを呼んでいます。
桑の葉の生産に当たっては農家と提携して挿し木で栽培してもらいました。農家にとっても桑は育てやすい植物です。耕作放棄地でも育ちますし、虫がつかないので農薬の散布もいりません。しかも私の開発した栽培法・製法で作って貰えば、通常の4倍の値段で和菓子屋さんに買い取ってもらえる。環境・社会・経済そして消費者と生産者を助けることが農学の大切な役目の一つですから、その点でも大成功のプロジェクトでした。

シルクを原料にした基礎化粧品。日焼けを防止して保湿効果も高いと評価が集まっている

自然を真似るバイオミミクリー、自然を活かすバイオユーズ

これはほんの一例で、研究室では、植物や昆虫などに学ぶ「ものづくり」に関する研究を数多く進めています。中でも注目されているのが、生物の特徴を真似て暮らしに役立つ製品を作るバイオミミクリー(バイオミメティクス)と呼ばれる分野です。タマムシやクジャクの羽の構造を真似て塗料の要らない自ら玉虫色に発色する金属加工法や、蚊の口を真似た痛みを感じにくい注射針などを開発しています。
シルクの研究にも力を入れています。血液もそうですが、シルクも人工では作れません。そこで、自然の素材をそのまま利用するバイオユーズというアイデアも必要なのです。繭は、幼虫から蛹、蛹から成虫へと変化するカイコにとって最もデリケートな時期を、外界の刺激から守るバリアとして機能しています。遺伝子に影響を与える紫外線をほとんどカットするほか、細菌の増殖を抑えこむ静菌作用や脂分を吸着する機能ももっています。私たちはそのすばらしい機能に着目してシルクを原料にした化粧品やサプリメントの開発にも成功しており、多くの反響が届いています。

取材協力:東京農業大学 農学部 デザイン農学科 長島孝行教授

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伝統野菜の健康成分について研究する先生

日本大学 生物資源科学部
伊藤 紘子 准教授

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お米の澱粉を研究し、加工品の販売普及まで行っている先生

秋田県立大学 生物資源科学部生物生産科学科
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華やかなペチュニアの模様の研究をしている先生

日本大学 生物資源科学部
東 未来 助教

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もっと在校生たちに聞いてみよう

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お客様や仲間に愛される庭師が目標。日本人の心になじむ庭を作りたい

テクノ・ホルティ園芸専門学校 造園コース
松本 颯留さん

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環境にやさしく、持続可能な方法で、農業の課題解決に挑みたい

酪農学園大学 農食環境学群 循環農学類 酪農コース
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野菜は食べるのも育てるのも好き。特にじゃがいも愛は負けません!

テクノ・ホルティ園芸専門学校 野菜生産コース
小林 海斗さん

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もっと卒業生たちに聞いてみよう

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本学で学んだ農業の知識と技術を元に、現場の抱える課題解決に取り組んでいます。

新潟食料農業大学 
食料産業学部 食料産業学科 アグリコース

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学生時代の挑戦から得た経験が現場で武器になる

愛甲農業科学専門学校 
システム栽培学科

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