農学とはどんな学問?
農学とはどんな学問?
私たちが生活のために利用するあらゆる生き物を対象に、さまざまな角度から探究
食料となる穀物や野菜、動物、さらには住居や衣服となる植物など、私たちが生活のために利用するあらゆる生き物を対象に、その生産から販売の各過程について研究するのが農学です。育てて消費するというだけでなく、それが将来にわたって持続可能になるよう、さまざまな角度から探究していきます。
農学と他の学問とのかかわり
私たちの生活と密着したテーマを扱う
生産、加工、流通、販売のすべての工程を学び、栄養・食品学や経済学、環境科学などの知識も身につけていくことになります。また、生き物を扱う学問には、生物学やバイオ・生命科学、医学、獣医学などがありますが、そのなかでも農学は、私たちの生活に一番身近なテーマを扱う学問だといえます。
農学では何をどのように学ぶか
実体験を通じた学びが多いのが特徴
まずは、生物学や化学といった基礎科目と合わせて、生産から販売にいたるまでの各過程について網羅的に学びます。学年が上がるごとに学びは専門的になりますが、そのテーマは実に多彩です。また、農業実習や加工実習、フィールドワークなど、実体験を通じた学びが多いのも特徴です。
農学はこんな人に向いている
衣食住に興味があったり、生き物が好きな人
私たちの衣食住に密接にかかわる学問ですから、それらに興味がある、あるいはそうした切り口から生活を豊かにする方法を探りたいという思いがある人には、農学が向いているでしょう。また、生き物が好きで、なおかつ大学での学びを実生活や実社会に生かしたいと考えているなら、農学はぴったりの学問です。
農学を学んだ後の進路と今後の展望
食品関係の就職多数、流通や販売についての学びを生かす道も
食品関係の企業に就職する人が多数を占めますが、流通や販売についても学ぶため、そうした強みを生かす道もあります。また、貿易や環境問題、乱獲の問題など、日本、そして世界の農業がさまざまな課題を抱えている現代。これらの課題を解決していくためにも、農学はますます重要になっていくでしょう。
農学の先生にきく
農学ではこんな研究をしています
クロマグロをはじめとする水産資源の養殖技術の開発や、品種改良などに取り組む
クロマグロをはじめとする水産資源の養殖技術の開発や、品種改良などに取り組んでいます。養殖技術がいっそう向上し、さらに品種改良によって育てやすい品種などが作れれば、生態系に影響を及ぼすことなく、人の需要に合わせた安定供給ができるようになります。それを目指して、日夜研究しています。(近畿大学 農学部 水産学科 澤田好史教授)
ユニークな特徴や機能を持った昆虫・動植物を徹底的に解析し、画期的な製品を開発
自然界にはユニークな特徴をもった昆虫や、優れた機能をもつ動植物が数多く存在します。その特徴を徹底的に解析・分析するところから画期的な製品や食品を開発し、消費者から生産者まで共に喜べる社会のしくみを築きあげること(デザイン)を目指して、研究を続けています。(東京農業大学 農学部デザイン農学科 長島孝行教授)
農学のここが面白い
生き物を相手にする困難さと、成果が出たときの達成感
生き物を相手にする学問ですから時間はかかりますし、思いどおりにいかないこともあります。しかし、成果が出たときの達成感は困難な分だけ大きいものになりますし、人類に貢献する研究はやりがいがあります。今、農学においては日本の若者が世界で活躍できる時代。ぜひ、野心をもって取り組んでほしいです。(近畿大学 農学部水産学科 澤田好史教授)
動植物の優れた能力を生かし、現代社会が抱える多くの課題を解決に導ける
動物、植物の優れた能力を生かせば、健康不安や環境汚染、資源・エネルギー不足など、現代社会が抱える多くの課題を解決に導けるというのが私たちの研究テーマです。少し目を凝らせば、研究のヒントはすぐ足元に見つかるはずです。(東京農業大学 農学部デザイン農学科 長島孝行教授)
もっと先生たちに聞いてみよう

お米の澱粉を研究し、加工品の販売普及まで行っている先生
秋田県立大学 生物資源科学部生物生産科学科藤田 直子教授

さまざまな再生可能エネルギーの活用法を教えてくれる先生
酪農学園大学 農食環境学群農環境情報学類石川 志保先生

健康な暮らしや豊かな食生活のために、食品を研究する先生
東京薬科大学 生命科学部応用生命科学科熊澤 義之教授
農学の学生にきく
農学を選んだ理由を教えて!
- 農業を支える仕事に就きたいから。
- 農作物について研究したい。
- 生物と触れ合うのが好き。

農学だけでなく、水産学も学べるので幅広い知見が身につくと思ったからです。農業従事者が減っていることを知り、将来は農業を支える仕事に就きたいと思っていることも理由です。
(農学部 国際食料資源学特別コース ちょんまげ職人さん)

高校で生物を学んでから、植物のしくみに興味をもつようになりました。特に農作物について深く学びたいと思うようになったからです。地球温暖化といった環境変動が起こるなかで、新たな技術も日々開発されています。それらについて理解を深め、課題を解決していきたいと思っています。
(園芸学研究科 環境園芸学専攻 Mさん)

私は食料生産や食料危機に興味があります。特に食料危機に立ち向かうための研究をしたいと思っていたので、この学問を選びました。
(農学院 Masさん)

もともと生物と触れ合うのが好きで、生物に触れながら研究がしたいと思っていたからです。水中におけるニッチや環境保全について学べる学部があることを知り、大学のうちにそういった研究に携わりたい!と思っていました。
(生物資源科学部 生命科学科 じゅりーさん)
時間割と授業内容を教えて!
キャンパスライフの参考に、農学部 総合農業科学科1年生の時間割をチェックしてみましょう。
「農業科学入門」や「基礎微生物学」など、研究の基礎に触れたり、「英語」や「ドイツ語」などの語学にも励みます。
1年次では、研究のための基礎力を身につけ、外国語も学びます。一般教養の講義もあるのが一般的です。2年次では、1年次よりも専門的な分野の講義が増え、より深い知識を身につけます。研究を行うにあたっての基本操作を学び、実験もスタートします。
3年次には実験の難易度が上がることで、テーマを深く掘り下げていく思考力も必要になります。4年次には講義はほとんどなく、卒論研究に取り組むことが一般的です。
農学ではこんなテーマで学べるよ!
- 森林と人々の関わりについて研究。
- 乳製品と腸内細菌との関係、免疫機能への効果を分析。
- タマムシの光沢、いわゆる玉虫色の謎を探る。

森林と人々の関わりについて、社会科学的な手法から研究を進めています。日本の国立公園を事例に、公園指定によって人々の生活にどのような影響があったのかを、関係者の聞き取りやアンケート調査から明らかにしようとしています。
(生命農学研究科 森林・環境資源科学専攻 ティーダさん)

私の研究テーマは乳製品の機能です。腸内細菌との関係や、免疫機能への効果などを分析し、人や家畜動物の健康維持のための利用を研究しています。
(農学部 生物生産科学科 S.Kさん)

玉虫色の謎を研究しています。タマムシの外骨格には金属のような光沢があり、見る角度によって微妙に色が変わります。これは光の干渉という物理現象を利用したもので、一般的に昆虫の外骨格にみられるものです。研究ではいろんな昆虫の外骨格を観察し、色が変わって見えるものと、変わらないものの性質の違いを調べています。
(農学部 デザイン農学科 匿名希望)

農学で楽しかった演習やテーマを教えて!
- さまざまな種類の昆虫を捕まえて、観察した。
- 流行した感染症とからめ、生物の遺伝子を調べる方法を学んだ。
- 漁業の道具の工夫を通じて資源管理について学んだ。

さまざまな種類の昆虫を捕まえて観察する実習が楽しかったです。班員で協力して大学周辺を散策し、水中や土の中にいるものも含め、さまざまな種類を捕まえなければなりませんでした。大変だったのですが、とても新鮮で充実した時間が過ごせました。
(生命科学研究科 基礎生物学専攻 Ayaさん)

生命情報学という講義が大変思い出に残っています。生物の遺伝子などを調べる方法を学ぶ講義だったのですが、2020年ごろから流行した新型コロナウイルスなどの話題についても学べたことが印象的でした。
(農学部 生物機能科学科 Dさん)

漁具漁法学という授業が良かったです。漁具をどのように工夫して資源管理を行っているのかを具体的に学ぶことができました。新しい知見を得ることができたので、とても新鮮で強く記憶に残っています。
(農学部 国際食料資源学特別コース ちょんまげ職人さん)
農学を学んでみてどうだった?
- 食料問題の解決に意欲が湧いてきた。
- 農業や漁業問題は複雑、改善できる仕事に就きたい。
- 農学は奥が深い、新たな技術の誕生に面白味を感じている。

現在、少子高齢化、異常気象、農地面積の減少、人口増加など、さまざまな問題により、食料問題が深刻化しています。バイオテクノロジー分野では、それらの問題を解決する作物を作り出せることがわかりました。作り出すには膨大な時間がかかりますが、非常にやりがいを感じています。
(農学研究科 農学専攻 AWさん)

生命現象は多岐にわたり、ただ生物学を広く浅く学ぶだけでは深いところまでは理解できないということがわかりました。そのため、さまざまな分野の知識を身につけつつ、自分の興味のある分野は深掘りして行くことが必要であると感じています。
(生命科学研究科 基礎生物学専攻 Ayaさん)

肉を生産するために、大量の水が汚染されてしまうことを知りました。農業や漁業が抱える問題は複雑で、かつ数多く存在します。私はこの学問での学びを生かし、農業や漁業が抱える問題を改善できる仕事に就きたいと思うようになりました。
(農学部 国際食料資源学特別コース ちょんまげ職人さん)

地球温暖化により、農作物を育てる環境は変化しています。新たな病気が蔓延する可能性も高いので、防除していく方法を検討していかなければならないと思いました。農学分野は思っていたよりも幅広く、奥が深い学問です。さまざまな分野を融合させることで、新たな技術が生まれることにも面白味を感じています。
(園芸学研究科 環境園芸学専攻 Mさん)
記事はスタディサプリ編集部が農学を学ぶ学生に対して独自に行ったアンケートへの回答をもとに構成しており、実際の履修内容は各学校により異なる場合があります。各学校についての詳細な情報は学校ページにてご確認ください。
もっと在校生たちに聞いてみよう

花は生活や人生の節目を彩る大切な存在。その魅力を伝えていきたい!
テクノ・ホルティ園芸専門学校 花き生産コース
N.M.さん

植物が好きだという気持ちが1番大事。知識がなくても挑戦できます!
テクノ・ホルティ園芸専門学校 グリーンコーディネートコース
山中 萌生さん

好きなことを仕事に!大好きなイチゴ農家になりたい!
愛甲農業科学専門学校 システム栽培学科
西田 侑記さん
もっと卒業生たちに聞いてみよう

大学での経験や身に付けた畜産の専門知識が今の仕事に大きく役立っています!
酪農学園大学 農食環境学群 循環農学類 卒
山田 善悠さん

技術と感性。その両方を磨くことが良い庭園を生み出す秘訣です。
テクノ・ホルティ園芸専門学校 造園コース
由比 誠一郎さん

植物は人にとって身近なもの、癒しを与える存在に魅せられたのが原点です。
テクノ・ホルティ園芸専門学校 花と緑の生産・流通コース(2019年4月 グリーンコーディネートコースに名称変更)
小内 良春さん
農学に関連する本
全国のオススメの学校
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高知大学(農林海洋科学部)国公立大学/高知
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人間環境大学(フィールド自然学科)「いのち」「こころ」「環境」を学び、実践力を身につける6学部10学科の大学に!私立大学/愛知・愛媛
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酪農学園大学(アグリデザイン領域)北海道が、君を変える。「農・食・環境・生命」を学び、『生き抜く力』をつける。私立大学/北海道
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名古屋医健スポーツ専門学校(食健康テクノロジー科(3年制))スポーツ・保育・医療・リハビリ・食・農業の総合校で夢と感動を届ける人に!専門学校/愛知
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埼玉県農業大学校(野菜学科)専門学校/埼玉
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吉備国際大学(地域創成農学科)岡山県と兵庫県に3つのキャンパスを持ち、地域社会への貢献をめざす総合大学私立大学/岡山・兵庫
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岐阜県立国際園芸アカデミー(マイスター科)専門学校/岐阜
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日本自然環境専門学校(自然環境研究科)未来の地球のために、未来の自分のために、環境を選ぶという選択専門学校/新潟
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福島県農業総合センター農業短期大学校(水田経営学科)専門学校/福島
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関西学院大学(生物科学科)日本における「Top Global University」をめざす!私立大学/兵庫