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日本文学はこんな人に向いている

感想文の文体に慣れてしまうと、大学に入ったあとの文学研究でつまずく可能性があります。感想文の文体と、説得するための文体はまったく別物だからです。高校生までに、あることがらを人にわかりやすく伝える説明文の練習をしておくといいでしょう。状況に合わせて自分を変えられる順応性・柔軟性が文学研究でも役に立つはずです。

※このコンテンツは2018年の取材に基づき構成しています

人に伝わる文体の練習を

感想文に慣れすぎると研究でつまずく可能性も

やはり「本が好き」というのが志望動機になるケースが多いようです。それに加え、日本文学は、文学の読解を通して日本の文化や社会、日本人の精神面などを解き明かしていく学問ですから、「日本とは」や「社会とは」、「人間とは」といったテーマに興味があると、さらにモチベーションを高く保てるでしょう。
逆に大学に入ってつまずきがちなのが、高校生までに読書感想文の評価が高かった人だといいます。というのも、感想文の文体はその人の体質のようなもので、極端に言えば人に理解してもらうことを前提としていないからです。その人の感想が表現できていればよくて、それが教員の好みに合うような個性なら高評価をされるのが感想文です。
ところが、感想文の文体は、一部の人間に共感されることはあるかもしれませんが、多くの人に理解されることはありません。文学研究は説得の技術なのですから、自分の解釈を理論武装しないといけないので、感想文の文体が役に立たないどころか邪魔になるのです。
個性的な文体が染みついてしまっていると、資料や理論といった説得のための枠組みを加えるのが難しくなり、なおさら理解を得るのが難しくなっていきます。
そこで高校生までにやっておきたいのが、「説明文」の練習です。あることがらをできるだけわかりやすく他人に伝える文章を書く訓練をしておくのです。自分の書きたいことだけを書いていては理解を得られませんから、読者の視点に立って、初めて読む人にでもわかるにはどう説明したらわかるのか、理解できるのか、を考えることになります。これは大学で学ぶ「説得」に必ずつながってきます。
文学研究では、今までの自分だけの考えとは違う多角的な視点で作品を読み解いていかなければなりません。「自分らしさ」にこだわりすぎると、決まった方向からしか物事を見られなくなってしまいます。大学の学びを通して、また社会に出てからでも、人はいくらでも変わっていくものです。高校生の時に決めた「自分らしさ」にこだわらず、状況に合わせて自分を変えていける順応性・柔軟性を身につけるために、学びは一層大きな意味を持つものになります。

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