図書館情報学とはどんな学問?
図書館情報学とはどんな学問?
図書館情報学=図書館職員を養成する場?
図書館情報学と聞くと、図書館に勤務する図書館員を養成する学問という印象をもつかもしれません。インターネットが普及し、ICT(情報通信技術)が前提になった今日、ICTにも慣れ親しんだ図書館員を育てる、そうした面ももちろんあります。さらに知識の宝物庫である紙も電子資料も扱うことのできる「図書館」をいかに利用者に使いやすいものにするかといった研究の成果は、今日の社会になくてはならないものとなっており、情報化社会に寄与する学問として注目されています。
図書館情報学と他の学問とのかかわり
文理融合・境界領域型の学問
ICTの技術・知識といった理系的側面と、経営学、社会学や哲学などの文系的な側面の両方を併せもつ図書館情報学。文理融合の学問であるとともに、さまざまな学問と接点をもつ境界領域型の学問です。
図書館情報学では何をどのように学ぶか
選考によって分野に分かれて研究を深める
文系的な側面からは「知識情報学」や「哲学」などをまず学び、理系的側面としての「プログラミング」や「数学」も基礎科目として修得します。年次が上がっていくと、専攻に分かれ、より情報学に近い分野、そのベースとなるサイエンスに近い分野、図書館や知識を扱う機関の経営や運営に近い分野などに分かれて研究を深めていきます。
図書館情報学はこんな人に向いている
コンピュータ好き、人が好きなひとに向いている
コンピュータや通信ネットワークを使って、情報をどう人が使いこなすかというのが図書館情報学の本質です。コンピュータが好きという人はもちろんのこと、人に興味がある人、そして人が作り出してきた知識に興味があるという人にとっても、刺激的な学びが待っています。
図書館情報学を学んだ後の進路と今後の展望
図書館情報学の知識や技術をもつ人材へのニーズは高まる
使う人、読む人を中心とした情報学ともいうべき図書館情報学の知識や技術をもった人材へのニーズは、現在でも非常に高いものがあります。ICT化は今後、社会の隅々にまで浸透していくのは確実で、活躍の場はますます広がる一方です。
図書館情報学の先生にきく
図書館情報学ではこんな研究をしています
知識のマネージメントの仕組みを考える学問
図書館情報学というのは、人々が知識に触れられる図書館というしくみだけでなく、世の中の知識体系の成り立ちや、知識体系に人間がどのようにアプローチして情報収集を行っているかというところまで掘り下げ、知識のマネージメントのしくみを考える学問です。(慶應義塾大学 文学部 人文社会学科 図書館・情報学専攻 池谷のぞみ教授)
確実な情報を入手・検証・加工するには
サーチエンジンは情報を探すうえで非常に役立つツールですが、情報の偏り、不確かさなど、危うい側面ももち合わせています。確実な情報を入手する、さらには、情報を検証、加工するには多角的な視点が不可欠です。高度なネットワーワーク時代において図書館を含めた情報基盤をうまく活用することがとても重要になっています。(筑波大学 図書館情報メディア系 逸村裕教授)
図書館情報学のここが面白い
信頼できる医療知識の取得を支援する
病院で「がん」と診断されたら、その病気について詳しく知りたくなります。信頼できる医療・健康情報の取得を、市民が親しみをもっている公共図書館を利用して支援できないかというサービスデザインを研究しています。(慶應義塾大学 文学部 人文社会学科 図書館・情報学専攻 池谷のぞみ教授)
デジタルの最前線と学問の祖である哲学が融合
膨大な知識が存在するインターネット空間から情報を正しく上手に探し出すにはどうすればよいか。図書館情報学は、デジタルの最前線と学問の祖である哲学が融合する刺激的な学問です。(筑波大学 図書館情報メディア系 逸村裕教授)
もっと先生たちに聞いてみよう
地域の文化情報資源を、図書館と文学視点で可視化する先生
皇學館大学 文学部国文学科図書館司書コース岡野 裕行 准教授
図書館情報学の学生にきく
図書館情報学を選んだ理由を教えて!
- 将来、図書館の司書になりたいから。
- 情報やメディアに興味を抱き、深く学んでみたいと思った。
- 情報技術と知識情報の体系化を同時に学べるから。
小学校の時通っていた図書館の司書の方が、とてもやさしく面倒見の良い方で、そのころから司書にあこがれるようになりました。図書館情報学では、司書の資格がとれる以外にも、図書館について運営側・利用者側と両方の観点で学べるところに興味が引かれました。
(文学部 図書館・情報学専攻 A.Rさん)
私は、有川浩さんの小説『図書館戦争』に影響を受けたことがきっかけです。読書や出版が自由にできない世界をテーマに描かれたこの作品に感化され、情報やメディアというものに強く興味を抱きました。深く学んでみたいという関心も高まり、図書館情報学を専攻しました。
(文学部 図書館・情報学専攻 T.Rさん)
もともと、データサイエンティストに興味がありました。大量の情報を分析し、そこから価値を見いだし提案する仕事です。しかし、情報を分析して価値や意味を見いだすのは文系的な力が必要です。情報技術が身につけられ、知識情報を体系化していく知識も同時に学べるところを探した結果、図書館情報学にたどり着きました。
(情報学群 知識情報・図書館学類 T.Tさん)
時間割と授業内容を教えて!
キャンパスライフの参考に、情報学群 知識情報・図書館学類3・4年生の時間割(春学期)をチェックしてみましょう。
「サイエンスコミュニケーション」や「テクニカルコミュニケーション」、「情報サービス経営論」など、1週間を通して専門科目に特化した講義が続きます。主専攻により違いもありますが、「Webプログラミング」や「情報検索システム」といった技術の習得に重点が置かれた講義もあります。
1年次は、外国語や総合科目などの基礎科目を学び、情報システムや情報社会の法制度、プログラミング入門といった専門基礎科目も履修します。2年次は、1年次の学習をさらに深めるため、知識情報演習や統計などの専門基礎科目で技術の習得を目指します。
3年次になると、主にそれぞれの主専攻に進み、より専門的な科目を履修していきます。4年次には研究室に属し、卒業研究に取り組んでいきます。資格取得を目指す人のために、教職や司書の科目も用意されています。
※上記の時間割は、筑波大学 情報学群 知識情報・図書館学類の時間割を参考として引用しています。
図書館情報学ではこんなテーマで学べるよ!
- 記事を比較分析し、情報の受け取り方を研究。
- 時代によって変わる言葉のイメージを研究。
- 施設の新しいコラボレーション事例を調査・研究。
メディアの登場によって情報の流通はどのように進化してきたかを学ぶ授業や、記事の比較分析を行う授業などがあります。今までは何となくメディアの情報を受け取っていましたが、どのように人々に届くのかを意識するようになりました。
(文学部 図書館・情報学専攻 T.Rさん)
雑誌で取り上げられる「男らしさ」が、時代によってどう移り変わっているかを研究しています。例えば『週刊プレイボーイ』が創刊されたのは1966年ですが、当時のプレイボーイ像は硬派な姿であり、現代のイメージとはまったく異なります。時代によって変わる言葉のイメージを発見するのはとても新鮮で楽しいです。
(情報学群 知識情報・図書館学類 K.Mさん)
「公共図書館と民間施設との複合」をテーマに研究を進めています。例えば、最近は公共図書館がショッピングモールの中に設置されるなど、新しい取り組みが行われています。集客という観点から見ると、公共図書館、民間施設相互にメリットがあります。このような新しいコラボレーション事例などを調査・研究しています。
(文学部 図書館・情報学専攻 T.Rさん)
「病院の患者図書室」について研究しています。病院で診察を受けた患者さんが自分の病気について知りたいと思ったとき、最初に訪れるのが病院の患者図書室です。司書が常駐している病院もあり、どのような対応が患者さんのためになるのか、先進事例などをもとに、サービス内容について考察しています。
(文学部 図書館・情報学専攻 A.Rさん)
図書館情報学で楽しかった演習やテーマを教えて!
- 情報について、流通の変遷や信ぴょう性を深く考察した。
- 図書館での子ども向けの企画を考えた。
- 「図書館だより」を作成して、おすすめの本を紹介した。
メディアに関する授業が印象的でした。メディアがない時代から現在に至るまで、情報の流通はどのように進化してきたのかを考察しました。ニュース記事を分析して、どこまでが事実でどこまでが記者の意見や感想なのかを見極める授業もありました。メディアについて深く考えるきっかけになりました。
(文学部 図書館・情報学専攻 T.Rさん)
児童サービス論という授業では図書館での子ども向けの企画などを考え、子ども向けのおすすめの本を紹介する「図書館だより」を作成したのが印象的でした。さまざまな年代の方に図書館を利用いただくための知見が得られました。
(文学部 図書館・情報学専攻 A.Rさん)
図書館情報学を学んでみてどうだった?
- 多角的な視野で情報を分析する力が身についた。
- 情報学の視点も学べる幅広い学問。
- 学びを生かし、今までにない図書館を作りたい。
膨大な情報を体系化して、人がアクセスしやすくするという図書館学本来の知識をしっかりと得ることができました。また、その知識をどのように応用するかなども学べたおかげで、多角的な視野で情報を分析する力が身につきました。
(情報学群 知識情報・図書館学類 S.Mさん)
図書館情報学は、伝統的な図書館学の考え方も、新しい情報学の視点も学べる幅広い学問でした。時代によってメディアが変わっていくなかで、人々の知的好奇心やニーズに応えるため、どのようなしくみが必要かを考えていくことが大切なことだと気づきました。
(文学部 図書館・情報学専攻 A.Rさん)
私は卒業後の進路として、地方公務員として働くことが決まりました。もし図書館運営に携わるチャンスに恵まれたら、この学問で学んだことを生かし、新しいサービスを市民に提供できるような、今までにない図書館を作りたいと考えています。
(文学部 図書館・情報学専攻 T.Rさん)
図書館情報学の軸は、情報の収集と分類、体系化です。この考え方は書籍や論文だけでなく、あらゆるタイプの情報に応用できます。例えば社会に出ても、お客さんのニーズを発掘し、ライフスタイルに合わせたサービスを創造するなど、学んだ知識や技術が生かせるところもたくさんありそうで、未来にワクワクしています。
(情報学群 知識情報・図書館学類 T.Tさん)
記事はスタディサプリ編集部が図書館情報学を学ぶ学生に対して独自に行ったアンケートへの回答をもとに構成しており、実際の履修内容は各学校により異なる場合があります。各学校についての詳細な情報は学校ページにてご確認ください。
もっと在校生たちに聞いてみよう
人と関わりながら、手助けができる司書になりたい
滋賀文教短期大学 国文学科 日本文学コース
米田 悠里さん
将来は図書館司書として、利用者が求める情報を的確に提供したい
鶴見大学 文学部 ドキュメンテーション学科
後藤 愛菜さん
神奈川県の魅力、本の魅力を伝える仕事に就きたい!
鶴見大学 文学部 日本文学科
伊藤 翼さん
もっと卒業生たちに聞いてみよう
豊富な蔵書や魅力あるイベントを通じて、みんなにお気に入りの一冊を見つけてほしい!
千葉経済大学短期大学部 ビジネスライフ学科 卒
Tさん
人と本との出会いをつなぐ図書館司書。一生心に残る本を提供できたら嬉しいです
皇學館大学 文学部 国文学科 国語・国文学コース
川村 花音さん
図書館や本に興味を持つ生徒が一人でも多くなるように。
聖学院大学 人文学部 日本文化学科
杉本 太志さん
図書館情報学に関連する本
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