私が担当するのは日本料理です。日本料理は、食材の苦みやえぐ味を抜き、素材本来のうまさ、いわゆる「持ち味」を際立たせる「引き算の料理」ともいわれます。食材の一番美味しい旬の時期に、最小限の手を加えるだけ。一見シンプルなようですが、そこに日本料理の難しさと面白さがあります。料理を活かすも殺すも食材次第、だからこそ料理人は、その食材と常に向き合い、大切にしなければならないと考えています。授業でもそこを徹底的に指導します。何がこの食材のうまさなのか、どうしたらこの食材の持ち味を最大限に引き出せるか。そんな事を考えながら料理をすると、食材の扱いが解るようになり、料理がどんどん面白くなっていきます。
料理はチームワークが大切。グループの中で誰か一人がずば抜けていても、周囲との連携が出来ていなければ素晴らしい料理は出来上がりません。調理実習ではチームメイトとミーティングをし、「誰が」「いつ」「何を」するのか皆で共有し、それを実践していきます。但し、大事なのは周りにアンテナを張れるか。慣れないうちは自分の事だけに集中してしまいがちです。チームで今は誰が何をやっているかを把握しておくと、就職した際にもアンテナを張れるようになり、即座に動けるようになります。グループ実習は、その為の特訓でもあります。
自分の道を決めるのは、様々な迷いや不安があると思います。料理も、最初から何もかもできる人はいません。しかし、そこは大丈夫!我々と共に学び、自分が作った料理で人を笑顔にできたときは最高に嬉しいですよ。
辻調理師専門学校入職9年後、エコール辻東京へ赴任。
その後、ニューヨーク日本料理店「brush stroke」へ出向。
約2年間ニューヨークにて現場スタッフへの調理指導及び料理提供。
再びエコール辻東京へ戻り、現在に至る。