高齢化社会に伴い、日本における死因第一位は悪性新生物すなわち「がん」です。中でも肺がんの割合が最も多く、その影響から筋肉量や脂肪量が減少し、生活の質の低下や生命予後不良を引き起こすことが見られます。私の研究する「高齢者の呼吸リハビリテーション」では、肺がんの外科手術で肺が小さくなったご高齢の患者様に対し、理学療法を用いた運動を導入することで、がんがもたらす影響を減らし、今までのような日常生活が送れることを目標としています。また、がんの有無に関わらず、早期からリハビリテーションに取り組むことは壮年期・高齢期の健康寿命を伸ばす「予防」としての役割を担うことができます。このように理学療法士として専門性を発揮し、さまざまな世代の生活を支援する研究で、医療分野の発展に貢献したいと思います。
巻教授の授業では、実際の医療現場で使われる心電図や呼吸機能検査(肺活量等測定)といった機器を用いて、患者様が医療現場で体験される場面を再現し、障害を持った方に対するアプローチの方法を予防の視点から実践的に学ぶことができます。授業は1クラス40名の少人数制で、きめ細やかで丁寧な指導が特長。臨床現場での経験が少ない学生にもわかりやすい講義を心がけているため、患者様の生活背景などを想定しながら、リハビリを通じて生活の質を向上可能な支援ができるスペシャリストを目指せます。
理学療法を学ぶことで、将来は病院施設だけでなく行政や海外支援、医療研究分野といったさまざまな活躍の場が広がっています。皆さんもぜひ発展性のある理学療法士を目指しましょう!
専門:高齢者の呼吸リハビリテーション
社会福祉士として介護職に従事後、理学療法士免許を取得。病院および介護老人保健施設にて主に呼吸器疾患のリハビリテーションに従事。長年にわたり地域在住高齢者の社会参加支援を行う。その経験を踏まえて、筑波大学大学院にて博士号(医学)・(ヒューマンケア科学)を取得。筑波大学呼吸器外科学助教として医学教育・研究に携わる。2022年4月よりアール医療専門職大学・准教授に就任する。