病気の治癒だけでなく、患者さんやそのご家族一人ひとりの人生と生活の質を向上させる医療づくりに取り組んでいます。まず取りかかっているのが、苦しみの「見える化」です。患者さんや家族が抱える苦しみはそれぞれ異なります。「こういった悩みが多い」と数の大小だけで考えてしまうと、一人ひとりの声を聞き逃がしてしまいます。医療現場で集めたデータに対して、数は少なくとも深刻な悩みがあれば一つひとつ丁寧に拾い上げ、「どういった苦しみを抱えているのか」「なぜそのようなことが起こったのか」を分析・研究し、情報の取りまとめと発信を行っています。現在は小児がんの治療に取り組む人々と連携して研究を行っていますが、今後は難病の子どもと家族を対象として、より多くの一人ひとりの苦しみを拾い上げていきたいと考えています。
「小児看護学」に関連する科目を担当しています。学生たちの多くは、命にかかわるような経験をすることなく成長してきた人がほとんどです。重い病に日々向き合い、時には命を落としてしまう子どもたちがいる現実を学生たちに伝え、「自分の“生”は当たり前ではないこと」を自覚してもらうことを、特に大切にしています。また、「自分で考える時間」も重視しています。重い病に苦しむ子どもたちやそのご家族を、自分や社会、医療はどのように支えることができるかを、授業に参加する皆でディスカッションしながら考えを深めていきます。
看護師としても人間としても、「視野の広さ」は重要です。多くの価値観に触れて、考えを広げましょう。私も学生の皆さんの考えに触れることを大切にしています。年齢関係なくお互い学び合い、成長していきましょう!
看護師として兵庫県立こども病院に勤務後、母校の京都府立医科大学医学部看護学科の助教に着任。同時期に社会人大学院生として京都教育大学教育学研究科(博士前期課程)に進学。その後は、京都先端科学大学健康医療学部看護学科(旧:京都学園大学)の講師に就きながら、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻(博士後期課程)に進学。2024年4月より、大阪歯科大学看護学部に特任准教授として就任予定(2023年5月現在)。