保健師の主な役割である「人々の病やケガを未然に防ぐこと」について、自ら実践しながら、同じ保健師たちの後押しとなる取り組みや研究を続けています。たとえば、保健師の活動やノウハウのデータベース化。病やケガを未然に防ぐには、問題を抱えた人たちのもとへ自ら訪れ、行動することが必要です。その活動範囲は非常に広く、ケースバイケースで柔軟に動かなければなりません。そのような問題を解決するには、参考となる類似ケースの情報が不可欠なため、先人たちの記録をしっかりと残すことが重要です。保健師が考えるべき問題は多岐に渡ります。災害支援、海外渡航者の疫病予防、在留外国人と医療・福祉制度の橋渡しなど、さまざまな問題に対処しながら調査や研究を行い、今の世代、そして次世代の保健師たちの道標となる情報を発信し続けています。
「地域・在宅看護」が担当科目です。生活習慣病の増加、医師や病床数の不足などの問題に対応するため、地域住民の病気予防・健康促進などを広く行う「地域・在宅看護」の重要性が増しています。しかし、従来の考え方だけでは適切な実施は行えません。「病・ケガの未然予防」や「問題解決のために自ら行動する」視点が、これからの看護師には必要です。ケアを必要とする人だけでなく、周囲を取り巻く環境や人間関係などを俯瞰して把握し、柔軟に対応するために必要な力を、保健師の知識とオーバーラップさせながら育みます。
命と健康は、人生におけるかけがえのない財産です。人々がその財産を守り続けられるよう、看護師はサポートしています。ケアを必要とする一人ひとりにあわせた、柔軟な思考力・実践力を養える学びを提供します。
高知女子大学家政学部衛生看護学科卒業後、山口大学大学院医学研究科にて博士(医学)を取得。国立室戸少年自然の家、芸西病院精神科にて看護師として勤務した後、高知市役所にて保健師を務め、先人の保健師が行った活動のデータベース化を開始。産業医科大学にて講師、大分大学にて准教授、広島大学、札幌医科大学、川崎医療福祉大学にて教授として教鞭を執り、2024年4月大阪歯科大学看護学部の教授に就任予定。