頸椎症や腰椎症、末梢性顔面神経麻痺、関節リウマチなどの治療で東京大学医学部附属病院へ通院中の患者さんに対して、鍼灸治療を中心に行っています。鍼灸が身体にどのように作用するかは少しずつ分かってきた一方で、まだ解明されていないことも多いのが現状です。また、現代西洋医学的に説明するとなると、難しい面や理解しにくい面もあります。そこで心がけているのは、患者さんやご家族、他の医療職へ分かりやすく丁寧に説明することで、納得され安心して鍼灸治療を受けていただけるよう努めています。その結果、症状が少しでも軽減したり、楽になったなどの声をお聞きするのはとても嬉しく、やりがいにつながっています。
学生時代は知識も技術も基礎を重視して、繰り返し覚えたり練習しました。教科書には余白がなくなるくらい書き込みました。基礎と臨床を関連づけて教えてくださったことが、いまの仕事において患者さんの症状や、鍼灸の身体への影響を考えるうえで、とても役立っています。また、患者さんをはじめ、人に接する態度の重要性も学びました。仕事のすべてが信頼関係で成り立っていると日々実感するなかで、その学びは活かされています。先生方は、授業内容への指導だけでなく勉強の方法など、どんな質問や相談にも必ず時間を取ってアドバイスくださいました。どの先生にも親身にサポートしてもらったことが強く印象に残っています。
国際鍼灸専門学校は、東洋医学だけでなく現代西洋医学に関する内容も学べること、さまざまな現場で臨床を経験された先生方から、より実践的な講義や実技が受けられると知り入学を決めました。もともとこの道を目指したきっかけは、小学生から続けていたサッカーで怪我が多かった高校時代に、鍼灸、マッサージをしてもらい、かなりの効果を体感したこと。それで自分も同じ技術を身につけて助けたいと強く思いました。仕事選びには、どんな形でも興味を持った仕事の業界・分野の体験がおすすめ。私も体験によって本当にやりたいかを判断できて、現職に至ります。頭の中で考えることも大切ですが、時間は有限です。まず行動してみては。
国立大学法人 東京大学医学部附属病院 リハビリテーション部物理療法(鍼灸)部門/本科/2008年卒/医療に携わる専門職が多くさまざまな専門的な視点からの意見を聴取でき、学びながら成長を続けられる環境が現職の魅力という林さん。日々の治療に加え、研究として、肩こりや末梢性顔面神経麻痺に対する鍼治療の効果検討と、実際の治療結果をまとめ成果を発表している。研究を続けるのは科学的な解明で、鍼灸の理解が深まれば、患者さんや家族、他の医療職にもっと受け入れられるのではとの考えから。現在は、はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師の卒後研修指導も担当。はり・きゅうの可能性を広げるべく研鑽と挑戦の日々を送る。