保育園では担任として1クラスを受け持つのではなく、乳幼児から5歳児までの全クラスを状況に応じて担当するフリー保育士として働いています。年齢に合わせたサポートが必要なので最初は大変な思いもしましたが、入所してからの10カ月間は多くのことを学びました。例えば、オムツが取れるタイミングに合わせて開始するトイレトレーニングなど、こどもの成長段階をイチからつながりをもって理解できたのもすべてのクラスに関わることができたからです。また、担任の先生しか受けつけられなかったこどもに対する関わり方を工夫していく中で、「安西先生手をつなごう」と言ってくれるまでに関係が築けたときの喜びは何ものにもかえられません。
私自身、幼稚園の先生が大好きなこどもでした。その記憶は私の進路に大きく影響し、中学生のときに経験した保育所での楽しかった職場体験を機に、将来は、保育士か幼稚園の先生になろうと決めていました。以来、保育コースのある高校を探し、出会ったのが宝仙学園高等学校女子部。そしてその先には、少人数制教育を重視したこども教育宝仙大学があることも大きな魅力でした。大学では保育士資格と幼稚園教諭一種免許状の取得を目指しましたが、保育実習や保育所でのアルバイト、4週間の幼稚園実習などを体験する中で、自分が本当にやりたいことは乳幼児期から就学前までの長い期間をこどもたちとともに生活する保育士の仕事だと実感しました。
思い出に残っている授業は2年生のときに学んだ「障がい児保育」です。この授業では、医師から診断を受けている障がい児に対する保育だけではなく、例えば、周囲とコミュニケーションをとるのが苦手なこどもや集団生活になじめないこども、周囲の輪からはずれてしまいがちなこどもなどに焦点を当てた保育の進め方を具体的に学ぶことができました。どこの教育現場にも、気になるこどもはいるもの。この授業で得た知識は、とても役に立っています。「自分なりに考え、実践してみて、こどもと一緒に楽しめる保育をする」、これが私の目標です。そして、ふとしたときに「あの先生はどうしてるんだろう?」と、想い出してもらえる存在でありたいです。
都内私立保育園勤務/こども教育学部 幼児教育学科/2019年3月卒/「最近、自分の職場だと思える余裕が出てきました」と話す安西さんは、先輩の先生方からのサポートを受けながら、真剣にこどもたちと向き合い保育士の仕事を楽しんでいる。「学生時代から大好きで入り浸っていた図書館には、今でも足繁く通っています。専門書も多く、困ったときの力強い味方なんです。司書の方にもさまざまな相談にのっていただき、知らない絵本や評判のよい絵本を紹介していただいています」。図書館にあるパソコンで卒業論文も完成させたという安西さんは、図書館が今でも心の支えだという。