マタニティ専門の施術所で妊娠期特有の悩みや不調を改善するための施術を行っています。妊娠中はつわりや骨盤の痛み、むくみやお腹のはりなどに悩む方が少なくありません。心身の不調やストレスを軽減し、ベストなコンディションで出産できるように、鍼灸によるオーダーメイドのケアを提供しています。難しいのは妊娠週数によって変化する状態を見極めること。例えば、腰痛を和らげようと腰回りの筋肉を緩めすぎると、胎児を支えるために必要な力が抜けてしまう可能性があります。毎回緊張しますが、無事安産をされて、赤ちゃんと一緒に来院されると本当にうれしいですね。女性の幸せに直結する仕事のやりがいを実感します。
鍼灸を知ったきっかけは父の病気でした。痛みで苦しむ父をケアする鍼灸師を見て、自分も人を癒す仕事をしたいと思いました。東京呉竹医療専門学校に入学したのは、その鍼灸師の先生が呉竹の出身だったから。国家試験対策が充実し、スポーツや美容、福祉など多様な分野をカバーする教育も魅力でした。楽しかったのは実技の授業。先生方がそれぞれ得意な技術を惜しみなく教えてくださり、鍼灸や東洋医学の可能性の大きさにワクワクしました。今の仕事を選んだのは今後マタニティケアのニーズが高まると考えたからです。妊娠中の健やかな体と心づくりに貢献するだけでなく、不妊のお悩みも対応できるように、鍼灸の技術を極めたいと思いました。
今はマタニティ鍼灸の技術を磨くことに力を入れています。東洋医学は奥が深く、お一人おひとりの不調にどう対応するか、まさに勉強の毎日。鍼灸の論文を調べたり先輩に聞いたりするだけでなく、顧問の産婦人科の医師に質問して専門的なアドバイスもいただきながら、西洋医学にも裏付けられた対応力を高めています。将来的には美容鍼灸なども極めて結婚、出産、育児などライフステージが変わる女性をトータルにケアできる鍼灸師になれたら良いですね。また、いずれは私自身もライフステージに合わせてフレキシブルに働きたい。それができる鍼灸師は、女性にとってとても良い仕事だと思っています。
天使のたまご 銀座本院 勤務/鍼灸科/2023年卒/妊娠や出産、育児のストレスや不安をできるだけ取り除いてあげたいという石井さん。「人生で大切な瞬間を過ごす女性がより幸せになるように、鍼灸を用いて寄り添うことが私たちの役割です」。ときには流産して気落ちしているクライアントのケアをすることも。「グリーフケア(喪失へのケア)についての研修も受けていますが、妊娠・出産など経験していない私がどんなお声がけができるか、思い悩むこともあります。そんなときは自分の手技を通して、癒しの想いを伝えるように心がけています」。