私は看護師として病院で9年間ほど勤務していましたが、その間、生命の危機状況にある患者さんに関わることもありました。医療が高度に複雑になっていく今日、看護師にはますます専門的な知識や確実な技術が求められています。しかし、そのために機器を通し、データで患者さんを見ることも多く、「患者・看護師」という人と人の関わり合いが薄れているように感じています。
医療の仕事もIT化が進んでいます。そんな中でも、人間同士の肌と肌のふれあいで病状が回復に向かうようなケースがあることも事実。今こそ看護の原点とも言うべきところに立ち戻って看護を考えることが重要です。
対人援助としての看護のあり方を問い直しながら、人間であることについてもあらためて考え、学生たちにも看護の本質を見つめてほしいと思っています。
授業では1年生の「看護学概論」を担当しています。看護について様々な角度から考えていくうちに、「看護は奥が深い」と興味・関心を持ってくれます。そして、2年、3年と病院実習で実際の患者さんと関わる経験を通して学生は驚くほどに成長していきます。4年生の「看護学研究」や「課題別総合実習」のゼミは、看護に対する考えがしっかりしてきたなあと感じられる楽しみな時間です。
卒業した先輩たちはよく大学に来てくれます。卒業後に看護のマインドを生かして活躍している姿は、同じ看護職として元気をもらっています。
「あたりまえ」の素晴らしさを認識し、日々の暮らしを感受性豊かに、丁寧に過ごしてほしいと思っています。小さな幸せに気づくようになれば、看護師として「相手の立場で考える」ことができるようになりますよ。
神戸大学医学部付属看護学校卒業。看護師免許取得。神戸大学医学部付属病院に勤務。
佛教大学社会学部応用社会学科通信課程卒業(社会学学士)。
立命館大学応用人間科学研究科 対人援助学専攻(修士課程)修了(人間科学修士)。
兵庫県立総合衛生学院等にて非常勤として臨地実習指導の担当を経て、
平成13年 現在の前身である神戸常盤短期大学看護学科に入職し、現在に至る。