私は寄生虫の一種であるトリパノソーマ原虫の分子生物学的研究を行っています。この原虫はアフリカ睡眠病という疾患を引き起こし、適切な治療がなされないと昏睡状態に陥り死に至ります。しかし、この原虫に対するワクチンは存在せず、一旦、原虫が脳内に入ると治療薬も副作用が強いものしかありません。また、トリパノソーマ原虫は家畜に対しても感染するため、アフリカの人々の貴重なタンパク源を奪っています。そこで、私のグループではトリパノソーマの動きを制御する遺伝子に着目し、この働きを抑えることにより薬剤の開発へ繋げることを目指しています。本研究を通して将来的にアフリカの人々の健康増進に貢献したいと考えています。
医療検査学科と聞くと、病院の検査についてしか学ばないと思っていませんか?実は、臨床検査技師を目指すにあたって微生物・寄生虫学、遺伝学、血液学、生理学、病理学、生命科学など幅広い分野を学びます。そのため、教員が研究する分野も広く、寄生虫の他にも、癌遺伝子やウイルス、マウスを用いたパーキンソン病に関する研究など、さまざまな研究が行われています。臨床検査技師の資格を取るだけではなく、生命科学について、学び、研究ができる。これが、医療検査学科なのです。
医療検査学科の学びは、理学・農学・薬学等の学部と共通の学びも多く、学生の研究内容も様々です。進路に迷った時は、ぜひ神戸常盤大学に遊びに来てください。あなたの興味に合った学びに出会えるかもしれません。
専門:熱帯医学、分子細胞生物学
東京大学理学部生物学科卒業、同大学大学院修士課程、博士課程修了。大学院時代はアフリカの魅力にとりつかれ、ケニア、タンザニアを中心にアフリカに何回も旅行に出かけた。そのときの経験から熱帯疾患に興味を持ち、熱帯医学の分野の研究に携わるようになった。名古屋市立大学、英国サンガーセンター、東京医科歯科大学などでの勤務を経て現在に至る。